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6 没落貴族

サーシャ家族は私の宿泊代・食事代・雑貨や消耗品などを購入しては渡してくれるのは凄く嬉しい。


でも、代金だけは毎回受け取ってくれない。


「こんな豪華な宿を建て替えてもらった恩人に、金なんて受け取ったら罰当たりもんだよ!」


おじさんはそんな事を言って受け取ってくれない。


「病気を治してくれたり、宿を豪華で綺麗に建て替えてもらった恩人にお金なんて……」


おばさんも受け取ってもらえなかったよ。


「何もせずここを実家だと思ってのんびりと過ごしてよ」


サーシャにも同じ事言われた。


私は部屋へ戻り、またベッドで横になっていると睡魔に襲われた。


またしても寝てしまった。


寝る子は育つ!


横には育ちたくはないけどね。


でも『ボン・キュッ・ボン!』最後をボンにするとお尻が……『ボン・キュッ・キュッ!』が良いな。


理想的な身体だよね。


胸は母の遺伝なのかな?


それなりにあるけど、やっぱりもう少しって思ってしまう。


羨ましい事に、サーシャは理想の身体なのよ!


「はぁ~~っ」


溜息しか出ないし。


女性雑誌なんて、学校の友達にチラッと見せてもらっただけだから、身体のケアなんてどうしたら良いのかも分からない。


ベッドから起きて窓から外を眺めていると誰かが走って……えっ!


あの親子、生きてるの?


私は急いで1階へ下り、寝かされてる親子を見た。


「みんな、そこを通して!」


私はどうしたのかを聞くと、騎士の馬に跳ねられ息をしているのが奇跡だと周りの人は言っていたが、そんなことより人命が先よ!


ヒールの強いバージョンは確か『ハイヒール』だったはず!


『ハイヒール!!』


淡いピンクの光に親子は包まれ、一瞬で光が消えた時に傷も消えていた。


数分経過し、怪我は癒えてはいるが目を覚まさない。


何で?


癒しの光が母子の身体を包み込んだのだから失敗はしてないはずなのに。


父親は気が短いのか私に向かって声を荒げ、わめき声に近い怒号を浴びせて来た。


「おいっ、お前!

目を覚まさねえじゃないか!

どうなってるんだ!

ここに来れば助かると聞いたから来たんだぞ!

何とか言え!!」


私の胸ぐらを掴み、持ち上げている。


遠くから、おじさんとおばさんの怒鳴る声が聞こえていた。


私は息が出来なくて、苦しくなり相手の腕から逃れようと、必死にもがいたが横へと振り落とされ、運悪く机に頭が当たってしまい、私の意識が遠のいた。


グッタリしている私にサーシャが駆け寄り、出血はしてないかを確かめ、気絶している私をソッと抱きしめている。


怪我をした母子の旦那が暴走している間に、子供と母親の意識は戻っていたのだが、旦那が暴走しているのを素知らぬ顔で見ていただけで、意識が戻っててもお礼の言葉さえ無い。


常識が無い親子と平民への没落で有名らしくて、サーシャのおじさんが私を横抱きにし部屋のベッドへ寝かせてくれた。


「俺は下に行って話をつけて来るから、メイサ後は頼むな!

サーシャもココネに付いててやれ」


「ゴードン、ココネの能力の事は……」


と言いかけたが。


「大丈夫だから任せておけ!

ここには強くて頼りになるあいつらもいるし、そろそろ帰って来る時間だしな」


サーシャはずっと私の手を握って離さないので、おばさんが一言だけ言って部屋から出た。


「今のあの人は何をするか分からないから私も下に行くね。

何かあったら言うんだよ!」


サーシャは頷いた。



私は懐かしい夢を見ていた。


まだ両親が居て幸せだったあの頃の夢を「お父さん、お母さん」 微かな声だったがサーシャは私を見て、涙を拭いてくれた。


大好きだったテーマパークや海に行った思い出が次々と写真のように次々と変わっていき、最後にはあの思い出したくない人達が私を囲っている!


お金にしか興味や関心が無い親類のたらい回しや、虐待と奴隷の日々の風景が流れる度に涙が止まらない。


もう起きたくない。


このまま、楽しかった日々だけを見続けていたいよ!


私の幸せは何処にあるの?


これ以上私はどうしたら良いの?


あの親子を助けたのに、気付いても話しかけて止めてくれなかった人達、助けてくれたのはサーシャ達だけ。


宿に泊まっていた冒険者さん達は、依頼があって居なかった。


他の人達は何?


何でこんなに優しさが違うの?


私はどうすれば良かったのよ!


教えてよ!!






** 一階に下りたゴードンさん **



ココネが助けた母親と娘は可愛げも無い。


「早く帰りましょうよ?

あの気持ち悪い黒髪と黒目を見てるだけで吐き気がしそうよ!」


「お父様、早く私達の御屋敷へ帰りましょうよ!」


御屋敷だと!


コイツらは子爵だったが、横領と盗み・暴力沙汰が王国に知られて平民に落ちたはずだろ?


何が御屋敷だ!


「おい!

お前さん達は、助けてもらったにもかかわらず文句か、常識が無いな!」


俺の言葉に反応したのが『コ・イ・ツ』ココネの胸ぐらを掴み、横へ投げ飛ばして気絶させた張本人だ。


「俺様を誰だと思ってやがる!

平民共が!!

俺達に対してその態度、許されないからな!!」


鼻息を『フーフー』鳴らしながら息巻いてやがるぜ。


「お前達も平民だが?」


コイツは超が付く大馬鹿者なのか?


平民共って、テメェも平民だろうが!


あぁーー、イライラする。


こいつら殴りてぇ!


おっ、アイツらが帰って来たな。


俺は片手を上げて合図をした。


「ゴードン何してんだ?

って、コイツら平民になった没落共じゃねぇかよ!」


大剣使いのドーランが真っ先に言ったか、ドーランの身体は筋肉で出来てるからかなりデカイ!


それに身体だけじゃねぇ、声もデカイから平民の間で直ぐ噂が広まるだろうよ。


「おやっ、今日はメイサは居ないのかい?」


長剣使いで知的な男性アルナンが2番手に話した。


「あら、何かあったのかしら?」


セクシーで胸が『豊満な』じゃ無くて、魔法使いで美人なドリーが何かに気付き、元子爵を見て話かけて来た。


俺が話をしようと思っている時に横から話して来やがった。


「あれーーっ!

俺の心の癒しの君が居ないぞ!」


誰がお前の癒しの君だ!


っとによう、コイツは双剣使いのマルクだ。


サーシャ狙いらしい!


全くけしからん奴だ!


「貴方達、ここで何をしたの?

早く言わないと私のこの剣が血を吸いたいと言って、暴走しても知らないわよ?」


没落貴族にギラつく長剣を見せながら話しているのがミミリーだ。


コイツも長剣使いで美人だが、容赦がない。


仕方ねーな! 話してやるか。


「この母親と娘が騎士の馬に跳ねられ、息をしてるのがやっとの状態で、ここへ運ばれたんだ。

気絶してるだけだと分かるのにもかかわらず、例の癒しをしてくれたココネの胸ぐらを掴み、横へと振り投げ気絶させやがったんだ!

打ちどころが悪けりゃココネは……死んでいた!!」


そして後ろから、メイサが怒鳴るように言った。


「母親と娘は気付いていたにもかかわらず無視をし、お礼の言葉さえ無かったんだ!!」


冒険者達は、段々と怖い顔になり、最後には凄い顔で睨んでいる!


「ココネをなんだって?」


大剣使いの筋肉モリモリのドーランは額に青筋を立てている。


「ココネに何でしょうかねぇ?」


初老の長剣使いのアルナンは知的で紳士な振る舞いをしているが、内心では激怒している。


「ねえ、ココネに何をしたのかしら?」


魔法使いのドリーはすげぇセクシーだが、怒らせると命の保証は無い!!


「おい、サーシャの友達のココネに何をしたのかなぁ?」


こいつは双剣使いのマルク……サーシャ命らしく、けしからん!


悪い奴ではないし、サーシャもまんざらではない反応なんだが、俺がまだ娘を手放したくないだけだ。


「ココネに何をしたって?

言えよ!!」


最後に……彼女は長剣使いのミミリーだ。


味方には優しいが敵に対しては容赦がない。


お前ら、こえ~から!


「「「す、す、すみませーーーーん!!」」」


走って逃げやがったな。


ココネ、怖い思いさせてすまなかった!


俺はココネのことを、もう1人の娘だと思っているんだからな。


また笑った可愛い顔を見せてくれ。

「面白かった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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