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2 美味しい料理と私の左手

私は立ち上がり、自分の格好を見ると普通のワンピース姿にバッグは外出用の肩掛けだ。


中身は……この大きな茶色い皮袋は何?


数え切れない程入ってる?


えっ、金貨?


この白い皮袋は……銀貨?


ってか、鞄の底が無い?


それに鞄の重さも無い?


どうなってるの?



 


兎に角、細い道を歩んで行くと大通り? のような多く行きかう大きな道に出た。


周りを見たが、建物が洋風で何処かの外国にいる気分になる。


あの優しそうな女性に聞いてみよう。


「あの、お聞きしたいのですが、ここは何処ですか?」


振り返った女性の視線が私の体を上から下へと移動していたが教えてくれた。


「ここはバークサよ。

旅の途中かしら?」


一応話を合わせておいた方が良いわよね。


「はい、今着いたばかりだったんですよ。

この街のトップ、領主のお屋敷を教えてほしいのですが?」


怪しまれないようにしないとね。


友達が学校で見せてくれた異世界の漫画に似てる。


突然、異世界へ転移や転生していたって話の漫画と同じパターンだ、私は転移してしまったのかな?


親切な女性は領主のお屋敷を教えてくれたが、傲慢で酷い領主らしく、最近は両親が居ない平民の女性を養女にしては隣国へ送っているらしい。


この世界での『()()』で『()()』なのが、人間でない者達が住んでる()()なんだとか。


隣国との繋がりを得たいが為に女性を送っては、お見合いをさせ失敗をした者は娼館や貴族に売り飛ばしたりしているとの事なので、行くのはオススメしないと言われてしまった。


最悪な領主ってことは分かった。


「宿屋を教えて下さい」


女性は笑顔で自分の家が宿屋だと教えてくれ。


「部屋は空いているから行こうか?

お金は大丈夫?」


私は鞄に手を入れて金貨は出さずに、銀貨を出して見せた。


「銀貨なら7日は泊まれるよ、あと銅貨が3枚あれば朝昼晩の食事付きだよ!」


「これでお願いします」


私は女性に銀貨を3枚渡して、一緒に宿屋まで歩いた。


私達はお互いの事を知らないので、自己紹介をし合った。


「まだ言って無かったけど、私は『心音』と言います」


女性は笑顔で名前を教えてくれた。


「私は『サーシャ』よ。

敬語はいらないわ、ココネって呼ぶわね」


私は頷き、2人で笑い合った。


「ここが私の宿屋よ。

部屋へ案内するわね!」


宿の入り口は大きく木の扉風で、中央から向こう側の半分は食堂とキッチンのスペースになっており、半分からこっち側は出入りしやすく、立ち話しても十分余裕がある。


掃除も行き届いており、清潔感が心地良く感じられる。


食堂では、お客さんが昼食を食べていたのを見て、美味しそうって思った途端に『ぐうぅぅぅっ!』お腹が鳴った!


私は、サーシャと目が合い2人でクスクスと笑った。


笑ったのなんて、何年振りなんだろう?


パパとママが居た時は凄く幸せで、心から笑えてた。


でも今は、笑い方を忘れていたはずの私なのに、笑えた。


ここって、やっぱり異世界だよね?


異世界じゃなきゃ、あんな大剣や大きな盾、杖に双剣? らしき物なんて無いはずだし。


男の人達に囲まれた女の人は杖を持ってるから、魔法使い? 実際に魔女を見たのは初めてだ。


まあ、普通はそうだよね。


地球では魔法なんて無いんだし。


「先に昼食にする?」


サーシャにお腹の鳴る音を聞かれてたから、気を使ってくれてるんだよね。


「ううん、先に部屋で良いよ。

野宿続きで疲れてて」


旅といえば普通、野宿だしね。


サーシャは頷きながら昼食の事を話してくれた。


「昼食の用意が出来たら持って来ることも出来るよ? どうする?」


部屋まで 持って来てもらえるんだ。


じゃあお言葉に甘えようかな?


「持って来てもらっても良いかな?」


恐る恐る聞くと、サーシャは笑顔だった。


「うん、待っててね。

もし寝てたら、起こしてあげるから、ゆっくり休んでて」


戸を閉めた後、パタパタと廊下を走って行く足音が聞こえていた。


部屋はビジネスホテルのように、ベッドと貴重品入れ、机と椅子が置かれていた。


私は固いベッドだと思い腰をかけた途端に『フワンッ!』となった。


「えっ!」


フワフワなベッド、それも最高に気持ち良い感触だ。


こんなベッドに寝るのは何年振りだろう?


と思い、寝転ぶと気持ち良くて、いつの間にか寝てしまっていた。


私はサーシャに起こされ、昼食の親子丼もどきを一口食べて感激している。


「んんーーっ!

美味しい!

サーシャ、凄く美味しいよ!!」


口一杯に入れて食べたのなんて、いつ振りだろう。


サーシャは私を見てクスクスと笑っていた。


「ココネってば、可愛い小動物みたいだよ」


「凄く美味しいから、つい口に一杯入れてしまうの。

サーシャ、作ってくれた方にお礼を伝えてくれる?」


「良いよ。作ったのは私の父親だよ!

なんて伝えるの?」


サーシャが嬉しそうに聞いてきたので、素直な気持ちを伝えた。


「食べる人への気持ちが込められてて、凄く美味しかったです。

こんな美味しい料理を食べたのは初めてです。

本当にありがとうございました」


と伝えて欲しい! ってお願いした。


「この伝言を聞いた父は絶対に泣くと思う。

泣くのは感動や嬉しくてって意味だからね」


伝えに部屋から出て、パタパタと走って行っちゃった。


でも本当に美味しいから、感謝したくなるよ。


このパンって少し固い?


酵母が無いのかも、配膳をしに行った時にキッチンで酵母の事だけ話してみよう。


もしかしたら、フランスパンみたいに固くしているって場合もあるんだし、聞くだけなら大丈夫だよね。


このサラダも美味しい!


こんなにお腹が一杯食べたのは10年振りだ。


食べた物を運んで来た私、キッチンに運べば良いのかな?


「あの、失礼します。

 食器はどこで洗えば良いですか?」


背が高くて筋肉モリモリの優しそうな男性が話しかけて来た。


「もしかして、ココネちゃんかい?」


聞かれたので、恐る恐る頷いた。


「俺の料理を褒めてくれて、ありがとう」


食器を洗おうとしたのだけれど、止められてしまった。


そうだ、酵母の事を聞いてみようと思い聞いてみると。


「酵母? って何だ?」


知らなかったんだ、蓋つきの小瓶に八つに切った林檎を、小瓶に入れ水を林檎が浸かるくらいまで入れて、温度が上がる場所に置いてもらった。


4~5日かかるけど、1日に1度は小瓶の蓋を開けてほしい事を伝えた。


叔父さんは不思議そうに『ジーーッ』と小瓶を見ていたが、頷いて笑って返事をしてくれた。


「ああ、分かった。任せとけ!」


と言いつつ叔父さんは小瓶に視線を向けていた。

「面白かった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


と思ってくれたら


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