10 ティンキーとスズラン宿
明日来るんだよね?
ティンキーは手紙を直ぐに持って来たのには驚いたな。
もっと驚いたのは、ティンキーが昼食と夕食を食べて帰った事なんだけど。
隣国の王様の所に帰らなくて大丈夫なのかなと思い聞いてみたのだが。
「王様の所に戻らなくて大丈夫なの?
怒られない?」
「あはははっ、大丈夫よ。
まぁ、ヤキモチは妬くだろうね、楽しみだわ!」
「えっと、王様が可哀想になるわ」
ティンキーは、宿にいるみんなと仲良くなり、嬉しくて飛び回っている。
「きゃはははっ!
ここにいると楽しいし和むよ。
人間達の大陸で何かあった時は、この宿にいる人達はきっとエルクレイ様に守ってもらえるよ。
私には分かる」
みんなティンキーにペコペコしたり貢ぐようなことはせず、いつもの調子の掛け合いをしていた。
「ティンキー、これ持てるか?
菓子なんだが、白い包みにはココネがエルクレイ様に作ったクッキーが入ってる。
他の菓子は帰ってみんなで食べてくれ。
いつでも来いよ!」
ティンキーはおじさんの優しさに感動して、指に抱きつき猫のようにスリスリしていた。
「また遊びに来るね、みんなありがとう!」
ティンキーは魔法でカゴを持ち上げ、手を振りながら帰って行った。
「可愛い妖精さんだったわね、また来てくれると嬉しいわ」
ミミリーが言うとみんなも頷いていた。
「明日は宿にいる者達で見守ってるから、緊張しなくても大丈夫だからな」
「うん、ティンキーを見てると良い人なんだろうなーーって思うよ。
怖い人なら、きっと人間には近付かないはずだし」
私達は明日に備えて、早めに就寝をした。
**アリーシオンへ帰還したティンキー**
ティンキーの心はまだ高揚したままで、王宮の中を踊るかのように飛び回っている。
「ティンキー、何を持っているんだ?
それと、彼女の反応はどうだったんだ?」
ティンキーはニヤニヤした顔で、みんな良い人達だったこととココネのことを話した。
「ココネは楽しみにしてるみたいですよ?
スズラン宿にいるみんなは優しくて人種差別も無く接してくれて、エルクレイ様が来るのを楽しみにしてると言ってましたよ。
お土産を頂いたんです。
みなさんで食べて下さいと言ってました。
エルクレイ様はココネが作ったクッキーを食べて下さいね」
ティンキーはお腹いっぱいだからと、お菓子が入ってるカゴを宰相であるピートに手渡した。
「うむ、みんなと食べるか。
エルクレイ様は、ココネ様からのクッキーを食べられますよね?
では食堂へ移動しましょう。
包みをお持ちします……」
「駄目だ! 駄目だ!
これは俺だけが触って、俺だけが食べるんだ。
ココネが触ったものは全て俺が触る!!」
「エルクレイ様……そのような事はココネ様には言いませんように!
下手をすれば変態ですぞ!」
「なっ!
失礼なヤツだな。
俺は変態ではない!」
双子エルフのルルアとルミアが、この会話と現場を見て一言『変態』声がハモっていた。
「エルクレイ様ってば変態発言してるよ。
ルルアはどう思う?」
「そうねぇ、あの会話ならド変態発言決定だね!」
エルクレイ様は食堂で、双子エルフに聞かれた事を家臣達に話され、女性陣からの言葉の攻撃が連発中のようだ。
穴があったら入りたい状態だった。
エルフ族の姉妹である、レイラとレイナにも言われ放題だ。
「レイナ見て見て!
エルクレイ様が自ら首を付けてクッキーを食べてるよ!」
「本当だ!
明日は豪雨にならないと良いよね」
大臣のビリー(犬族)執事のトム(猫族)家臣のライク(魔族)家臣補佐のラーク(魔族)とロイ(魔族)は無言である。
一言でも言えば、怖いくらいの倍返しが来るから。
戦闘メイドはエルフ族のルルア、ルミア、レイラ、レイナの4人だ。
家臣と一緒に、明日はココネに会いに行くのが楽しみなエルクレイ様であった。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「早く読みたい!」
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