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小説講座  作者:
58/59

3、ストーリー構成 【謎】


今回はストーリーの盛り上げ方として、【謎】に注目します。


小説に限らず、物語には謎が付き物です。

どういった効果があるのか、またどう配置するのが効果的なのか、講座していきます。



数年前に新聞のテレビ欄をクイズ番組が席巻してた時期がありました。

その前は、雑学がやたら取りざたされた時もありました。

昔を遡れば、ミステリー特集なんかも乱立してたりもしました。


世間の流行りとなるまで人の興味を駆り立てる謎、謎、謎。


世の中にはたくさんの謎があるわけですが、この謎がなぜ人の興味を駆り立てるか。


考えてみれば、簡単なことです。

そこに知りたいことがあるからなんでしょう。


もちろん、知りたいことというのが『解答』です。

つまり、知的好奇心とか、知的探究心、これが取っ掛かりとなって、答えを探す。


この流れが、謎の対人効果の一端だと思われます。


これを踏まえて、さらに突き詰めていきます。



辞書を引いてみました。


【謎】何ぞ、の意から変化した単語


1、実態がわからないこと、不思議なこと。

2、意味が容易に解きにくい事柄



語源からして、何ぞ?が進化したと書いてありました。


意味合いとしては、何だろう?と思った事柄がそれすなわち【謎】である、という解釈でいいのと思います。



【謎】には、必ず【解答】がある。


これがさっきの流れ。

でも、人が求めるのは解答だけではないはずです。


ストーリー構成の章で重要な要素として、【カタルシス】を紹介しましたが、覚えている方いますか?


そう、謎でもカタルシスは得られるんです。



障害(抑圧)→開放→快感


これがストーリー構成のカタルシス。



では、謎はというと。


謎(詳細を求める欲求)→解答→快感


これ。




謎が解けた時の開放感は病み付きになります。

だから、ジャンルとしてミステリーが確立されているのです。


謎の秘める対人効果はこんなところです。

では、小説における謎の使い方についてやりましょう。


物語を作る上で、作者はたくさんの選択をしなければなりません。


作者の頭の中には物語りの全てがあるわけですが、いつどこでどれをどうやって読者に明らかにするか、その取捨選択に迫られるわけです。


すぐに伝えないとならないこと、隠しておかなければならないこと、ストーリーの要所で複線として置きべきこと。


それらを効果的に配置しなければならないわけです。


そして、察しのいい方ならわかるでしょうが、すぐに伝えなくてはならないこと以外は、全て謎の領分になります。


もちろん、謎にもいくつもの種類があるし、重要度がまるで違ったりもします。

キャラの秘密だったり、あるいは物語の根幹を成す謎だったり。


この『すぐに明かすべき謎』と『簡単には明かさない謎』の分別が出来ないと物語をつまらなくするから要注意。


例えば、主人公が後天的な盲目だったとしましょう。


なぜ盲目になったのかという謎があるのに、一向にその解答が出てきません。


読者は焦れて、もどかしくなって、そこによっぽどの理由があるのだろうと我慢して読み続けます。


ようやく過去の回想シーンで、よっぽどの理由もなく、ただ事故にあって盲目になってしまっただけです、と語られたら……みなさん、どう思います?


そんなのいつまでも引っ張ってるんじゃねーよ!ってなりません?



つまり、物語においての重要度が低い謎は、抑圧しすぎると読者に不満を抱かせてしまうのです。

だから早めに明かしておかなければならない。


逆に物語の核心に迫る謎は簡単に明かしてはなりません。


引っ張れるだけ引っ張って、大げさなくらいな演出を用意して明かしてあげることが大事です。



謎の重要度、ここに着目して起伏、カタルシスを形作ってみるとバランスのいい物語構成となるでしょう。



さて、謎の対人効果、重要度の違いについてやりました。

では次は、謎をどこに散りばめられることが出来るか、考えてみましょう。


謎にはたくさんの種類があり、同時に用途もたくさんあります。


小説4大要素として


1、文章作法

2、キャラクター理論

3、ストーリー構成

4、世界観


をあげました。


文章作法を除き、後者三つを基準として分類していきます。



1、キャラクターにおける謎。


先程の盲目然り。

主に過去に根ざした人物の背景となる部分。

(キャラ特性、性格、コンプレックス、人間関係、目的)



2、ストーリー構成における謎


物語の展開の仕方、意図的な後回し、あるいは先駆けを行い、意味を持たせる。

(時系列順ではなく、シーンを伏せて謎としたり、意味深なシーンを先に持ってくることで謎を作れる)



3、世界観における謎

明らかにしない文明、設定、背景を意図して作り、少しずつ物語に絡めながら明かす。

(詳細を明かさず、部分部分を曖昧に濁すことで謎とする)



簡単にまとめましたが、こんな感じです。


大事なのは、読者が興味を示す謎を意図して作り、重要度を認識し、どこで明らかにするか。


作者はその世界の神だから、どこを謎とすることも出来るし、明らかにすることも出来る。


だけど、謎に意味を持たし、効果的に配置することをしなければ、対人効果並びにカタルシスは効果を弱める形になります。


読者心理を予測しながら計算付くで【謎】と【解答】を配置出来るようになったら、格段の進歩に繋がることは間違いないと思います。


恐らく、こうした戦略を立てて小説を書ける人はなかなかいないでしょう。

小説家というのは、ただ物語を作るのではなく、物語を最大限効果的に盛り上げたものを文章として落とし込める人を言います。



こういうのはどんな物事でも一緒です。


野球でピッチャーしか出来ない人間をキャッチャーにするのは激しく間違っています。


誰がどんな得て不得手を持ち、どこに配置したら最大限力を発揮できるか。

それと一緒で、その謎がどんな特性を持ち、どんな人間心理を引き付けるか理解した上で、どこに配置してどう明らかにするか。


全て計算した上で形作ることでより一層、面白味が出るかと思います。


自分で書く小説を読み返してみて、【謎】がどう配置されているか、今一度見てみてはいかがでしょうか?

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