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【アニメ放送中】没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた  作者: 三木なずな


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188/439

188.おっきくなっちゃった

 使節団との謁見が終了し、俺は自分の部屋に戻ってきた。


 ラードーンは姿を消していつものように俺の中に戻って、デュポーンとピュトーンは人間の、少女の姿になった。

 ピュートーンが器用に立ったまま寝ている傍ら、デュポーンが俺に抱きつき、俺がソファーに座って、デュポーンが体を寄せるような体勢になった。


「ダーリン」

「なに?」

「あいつ殺させて」

「ころ……ラードーンのことか?」


 聞き返すと、デュポーンは俺に抱きついたまま頷いた。

 俺に抱きつく姿も感触も年頃の女の子にしか見えないが、発言がめちゃくちゃ物騒だった。


「いやいやだめだって」

「えー。あいつむかつくから殺させてよダーリン」

「いやいや……」


 そんな気軽に「殺させて」って言われると、こっちがどういうテンションで対応すればいいのか分からない。


『……』


 やっかいなことに、魔法以外の事はラードーンのアドバイスがほしいのに、対象が自分だからかラードーンは押し黙ったままだった。


「どうしてもだめ?」

「出来ればやめてほしい」

「じゃあ、代わりになでなでして」

「なでなで」

「うん」


 デュポーンはそう言い、頭頂部を俺に差しだしてきた。

 ツインテールを結うための綺麗な分け目がみえる。

 普段は簡単に見ることが出来ないそこを見せられて、何故かちょっとどきっとした。


 俺は少し迷ったが、手を伸ばしてデュポーンの要求通りに頭を撫でてやった。

 頭を撫でられたデュポーンは嬉しそうにして、俺の手に頭を押しつける様にしてきた。


「えへへ」


 と声を出してて、機嫌が直ったみたいだ。

 これでいいのか、と二重の意味でそう思った。

 一つはラードーンを「殺させて」っていうおねだりなのに、こんななでなでで解消できるのかという。

 もう一つドラゴン――神竜である彼女がこんなので満足したのかということ。


『我々は――』


 不意に、ラードーンが心の中で話しかけてきた。

 何事かと思ったけど、ラードーンの言うことならばと、まずはその先に耳を傾けることにした。


『仔を産みたい時は、その相手と同じ種族に姿を変えることができる』


 俺は小さく頷いた。

 その話、前にも聞いたことがある。


『姿を変えれば好み――求めるものも変わる。ドラゴンの時は首や顔を舐められるのを好むが、人間になればあのように頭を撫でられることを好む』

「ああ……」


 また小さく頷き、納得した。

 ドラゴンのはいまいちピンとこなかったけど、犬とか猫だと思えば何となく分かる。

 犬同士のスキンシップ、猫同士のスキンシップ。

 どっちもみたことがあるが、確かに「犬っぽい」とか「猫っぽい」スキンシップのやり方だった。

 それと同じように「ドラゴンっぽい」のもあるわけだ。


 そしてその「っぽい」のは姿を変えたらその時の姿のものになる、という事をラードーンは言っている。


 ……正直ほっとした。

 デュポーンの姿を見て、ホッとした。


 デュポーンは今、誰が見ても可愛いというような、完全に人間の美少女だ。

 そんな美少女に「顔を舐めて」とか「首筋を舐めて」とか言われると、ちょっととんでもないことになってしまう。


 そうならなくて本当にホッとした。


 そんな風にホッとしていると、デュポーンが上目遣いで、じっと俺を見つめてきてることに気づいた。


「え? なに?」

「ダーリンまたあいつと話してた?」

「ああ」


 俺ははっきりと頷いた。


「いいないいな、羨ましい羨ましい羨ましい!」


 デュポーンは駄々をこねだした。


「あたしもダーリンの中に入りたいのに!」

「入れないのか?」


 俺は首をかしげて聞き返した。

 今まで気にしたことなかったが、言われてみてちょっとだけおかしいって思った。


「先に入られちゃったから……」

「一人しか入れないものなのか……」

「ううん、普通は一人も入らないよ」

「え?」

「ダーリンの魂が何故か普通の人間よりもおっきくてね、一人なのに二人分くらいある感じなんだ。それであいつが入れた感じ」

「魂……」


『小さき体の大きな魂を持つものよ』


 ふと、ラードーンと初めて合ったときの彼女の言葉を思い出した。

 そういえばそんな事も言ってたな。


 ……。

 たぶんそれは、()リアム(、、、)の事なんだろうなって何となく思った。


 そうか……この体ってドラゴンが一人分入るスペースはあるけど、二人は入らないって訳か。


 改めてデュポーンをみる。

 俺の中に入れないって改めて口にしたせいか、デュポーンはちょっとだけ唇を尖らせて、やや拗ねたような顔をしていた。


 俺は少し考えた。

 ラードーンの言葉から、どうすればいい(、、、、、、、)かを考えた。

 彼女が入っていられるのは、俺の「魂が大きい」からだ。


 俺はすっくと、ソファーから立ち上がった。


「ダーリン?」

「ちょっとまってて」


 訝しむデュポーンを待たせて、ドアの方に向かった。

 ドアを開けて、顔を出す。


 廊下にメイドエルフが一人待機していた。


「アイリンか」

「はい、なんですかご主人様」

「ちょっと手を貸して」

「はい……こうですか?」


 メイドエルフのアイリンは不思議そうに首をかしげつつ、手を差し出した。

 俺はその手をそっと握って、目をとじた。


「あっ……」


 手を取られて声を漏らすアイリン、そのアイリンの体の中を探った(、、、、、、、)


 魔力を巡らせて、探った。

 体の構造は分からないが、「魔力の構造」なら直に手を触れば分かる。


 俺はこのリアムの体に転生してから、魔法の才能を手に入れた。

 それは「大きな魂」と関係があるのかも知れない。


 なら、「魂の大きさ」は魔力と似たような感じで分かるかも知れないと思った。


 そう思って、アイリンの体の、魔力関連のものを探っていった。


「ご主人様?」

「ありがとう。近くに他のみんないる?」

「え? あっ、はい。ちょっと待ってください」


 アイリンは頷き、メイド服のエプロンスカートを手で摘まんで、バタバタ走っていった。

 一分もしないうちに、二人の同族――エルフメイドを連れて戻ってきた。


 俺は簡単に説明して、二人の中も探った。

 比較対象があると分かる。

 「普通の二倍」というのも、探しやすい理由の一つになった。


 魔力構造というべきか、魔力中枢というべきか。


 そういう「っぽい」もので、確かに俺のがはっきりと大きいのがわかった。


「ありがとう、助かった」


 三人のエルフメイドにお礼をいった。

 そこで思い出して、三人の頭を撫でてやった。

 三人が嬉しそうにしたのを確認してから、部屋の中に戻った。


 デュポーンは相変わらずソファーの上に座ったまま、不思議そうに俺の顔を見ている。


「待たせたな」

「何をしてたの?」

「これでいけるかな……? 『オーバーソウル』」


 俺は比較から感じたものを基に、それを大きくする感覚をイメージして、魔法を作って、唱えた。

 すると――。


「え、え、えええ!?」


 俺を見つめていたデュポーンが何かに気づいて、目を見開いて驚いた。


「だ、ダーリン?」

「どう? 合ってるか?」

「うん……ダーリンの魂が大きくなってる……」


 デュポーンは、信じられないようなものを見てしまった。

 そんな顔をしたのだった。

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2025年1月6日アニメ放送開始しました!

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかして3竜みんな入るのかな
[一言] ある意味地球は上位世界なのかも?幻想種のドワーフも ピクシーも居ないしエルフもドラゴンも・ モンサスター類はいないし妖 精も居ないから 存在の曖昧な生物は存在できない上位世界かもね?
[良い点] 題名のセンス最高っス笑 続きが気になります!!!(≧∀≦)
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