第92話 間に挟まれる
お待たせ致しましたー
僕は、トラディス=クレイグ。十九歳。
ランクBの魔剣士が職業の冒険者で、『シリウスの風』と言うパーティーの副リーダーでもあるんだけど。
最近、ヒーディア国のリオーネに来たことで色んなことが変わったんだ。
【……あれやんなあ?】
『……うん』
パーティーに、お兄さんも含め三人でずっと活動を続けていたところに。
リーダーである、ジェフさんの幼馴染みさんで『魔闘士シェリー』と噂がすごい、可愛い女の子のシェリー=ポンフリームさんが加わることになった。
僕は、いきなりの申し込みにどうすればいいかわからなかったけど。お兄さんとジェフさんの魔眼できちんと確認を取ってから……加入を認めることにした。
普通の女の子には見えるけど、腕っぷしが僕よりも強くて……さすがは、と納得出来る腕前だった。
加入の理由に……僕の魔剣である『フランツ』が、『ジェフさんと強くなりたい!』って意志が強いことを確認したけど。
つまりは……ジェフさんの事がずっと大好きで追いかけて来たと言うことだ。
それを隠してもないけど、足手纏いにはなりたくないって献身的な態度も好感が持てて。
僕自身は、そんなシェリーさんを応援したくなった。
ジェフさんはどうかな〜と、討伐依頼をこなしながら観察をしていたら。
今日はちょっと変化があったんだよね?
【ジェフの旦那、荒れとんなあ?】
僕が、シェリーさんとこの街で手に入る希少なポーションパンと言う物の効能などを話し合ってたら……ジェフさんの気配とかが、鋭くなっていくんだ。
お兄さんが軽く殴ったことで落ち着いたけど……あの様子からすると。
(……ジェフさんも、シェリーさんのことまんざらでもないと思っているのかなあ?)
と言うことは……両思い?
美男美女のカップル成立になったら……これはいいことだ。
ジェフさんもだけど、シェリーさんにも幸せになってほしいもん。
とりあえず、シェリーさんが自分の体質改善に必要なポーションパンを口にしてからは討伐に集中して。
僕は、ジェフさんがシェリーさんに反省点などを指導している間にお兄さんの横に立つことにした。
「お兄さんお兄さん」
「あ?」
「ジェフさん、大丈夫?」
「……お前も気づいたか?」
「お兄さんほど付き合いはないけど、僕も相棒だからね?」
やっぱり、お兄さんもジェフさんの様子に気づいたようだ。
すぐに大きなため息をするあたり、困った様子はなく……少し呆れている感じだった。
「すぐわかんだろ? ジェフはしばらく自覚なかったようだが……自分をまっすぐに追いかけて来た嬢ちゃんだぜ? 惚れねぇわけないだろ」
「シェリーさん、可愛いもんね?」
「可愛いだけじゃなく、エリー並みにすげぇがな」
「……うん」
リオーネのBランク冒険者さんのエリザベス=バートレインさん。
あの子も、シェリーさんと僕と同い年だけど……めちゃくちゃ強いんだよね?
シェリーさんとはいい友達になってるけど。
それはともかく、ジェフさん達の方だ。
いちゃついてはいないけど……いい雰囲気に、こっちまで恥ずかしくなってきちゃう!!
次回はまた明日〜




