第90話 パーティーの新人
お待たせ致しましたー
リオーネに来たのは……本当に偶然だったけど。
『シリウスの風』の噂を聞いて……そのメンバーの中にジェフがいるのは知っていたから。居ても立っても居られなくて……ポーションパン屋さん経由で事情を聞いてから、今があるんだけど。
「あ、おはよう。シェリーさん」
「おはようさん。また二人で組み手してたのか?」
トラディスさんやレイザーさんにも認められるメンバーの一員になれるだなんて、思ってもなくて。
今こうして……ジェフも一緒に朝ご飯を食べられるだなんて思うのが奇跡だ。
「……おはようございます」
ジェフはともかく、二人にはまだ敬語が抜けないのは仕方がないかも。
トラディスさんは、いつも礼儀正しいし……レイザーさんはそのお兄さんだけど、ジェフと同じかそれ以上にかっこいいんだから。
この中で、紅一点の存在でいる自分がまだ信じられないのも大きいんだもの。
「ああ。シェリーはまだまだ強くなるぜ?」
で、大好きな人にそんな褒め言葉もらったら照れないわけないよ!?
「だろうなあ? 闘気が日に日に強くなってんな」
A級のレイザーさんにここまで褒められるだなんて。
半分が邪な欲望有りだけど、たしかに強くなりたいのは本当だ。ジェフの背後を守れるくらいに強くなりたいんだもん!
「凄いなあ。僕、体術は脚以外全然だから」
「トラディスさんも十分凄いですよ」
あの脚術に関しては、私絶対負けてるもん。家系の関係で……魔力や体術に特化するらしいけど。壁渡とかは全然敵わないもの。
「そうかな? ありがとう」
そして……その優しい微笑みで、今いる食堂のあちこちの若いお姉さん達の視線を釘付けにしてる自覚ないんだろうなあ。
お兄さんのレイザーさんの弟とは、すぐにわからないけど……優しい物腰が常だからタイプの違う美青年は、ここの癒し担当に見えるだろう。
私は、ジェフ一筋だから! ほんわか出来る空気にはほんわかしておくけど!
「んで、リーダー? 今日も討伐関連でいいのか?」
朝ご飯が運ばれて来て、半分くらい食べたところでレイザーさんがジェフに質問していた。これはいつものことだ。
「だな? シェリーをCランクに上げるには……試験対策考えて、もうちょい場数踏ませた方がいいだろ」
「……頑張り、ます」
美味しいけど、ポーションパン屋のケントさん達が作るのよりは普通の味のパンを飲み込んでから、私は頷いた。
ランクが上がるまで……あと少し。
このパーティーの足手纏いにならないように……出来ることは頑張りたい。
そして……ジェフに好きって告白するんだ!!
次回はまた明日〜




