第87話 知り合い?
お待たせ致しましたー
「…………………………………………エディ?」
レイザーさんが、何故かかなり間を置いてからエディを呼ぶと。エディはエディでまだ口笛をやめなかった。
「……お兄さん、お知り合い?」
「……ああ」
トラディスさんがそう聞くと、レイザーさんはエディの肩を掴み……店内の端で何やらゴニョゴニョと二人で話し合うことになった。
「て、店長さん! 大丈夫でしたか?」
シェリーさんが僕に声をかけてきたので、僕はなんのことかすぐにわからなかった。
「え?」
「Cランクですけど、荒くれ者で有名なパーティーがここに向かったって街では騒ぎになってて!」
「ああ。俺らが駆けつけようとしたのは、そいつらを止めにきたんだ」
「来て……ないようですけど。だ、大丈夫でしたか?」
ジェフさんとトラディスさんの話も要約すると。
あのめちゃくちゃ柄の悪い男の人達は、他でも何か色々やらかしてたらしく。このパン屋に来て……変な貴族さんとかが独占しようとする前に、自分達が……って襲撃しようとしたのかな?
そこをエディが鉢合わせて、無事に解決してくれたんだね。
「来てましたけど、エディが倒してくれたので大丈夫でした」
「……あの坊主、やるなあ?」
ジェフさんがピュイっと口笛吹くのは、ちょっとカッコいいね。着飾っていないと言うか。
シェリーさんもそう思ったのか、ちょっとほっぺピンクになったけど。
「……で、だ」
「あー、はいはい」
「わかってんのか!?」
「わかってるって」
とりあえず、お話は問題なく(?)終わったようで……二人ともこっちに来てくれたけど。
「あ〜……急いで来たんだが、こいつが全部解決してくれたんだってな?」
「はい!」
エディには本当に感謝だよ! と、彼の手を掴んでぶんぶん振ると……エディは照れくさそうに笑った。それだけもかっこいいね!!
「まあ……放っておけねぇと思ってな?」
「ありがとう!! ……で、御礼代わりに好きなポーションパン選んでもらおうと思って」
「駄賃代わりには……最高じゃねぇか」
「ふふーん!」
エディは嬉しかったのか、胸を張ってから僕の肩に腕を回した。
「?」
「俺、ケントとダチになりたい!」
「……友達?」
「そ! ダメか?」
「いやじゃないけど……」
異世界に来て最初の男友達……。
とっても嬉しい!!
ラティストとカウルは家族だから、友達って嬉しい!!
実感が湧いて首を強く振ると、エディから『よっしゃ!』と背中を軽く叩いてくれた。
「んじゃ、マブダチだな!」
「うん!」
「……あー……」
僕らが騒いでいると、何故かレイザーさんは顔を手で覆っていたんだけど……なんか事情でもあるのかな?
反対はされているように見えないけどね?
「そろそろ開店するんだろ? サクッと選ぶから!」
と、エディは本当にさささっと欲しいポーションパンを選んだら……すぐに亜空間収納に入れていった。予想より少ない数に『いいの?』と聞いたけど。
「もっといいんだよ?」
「大丈夫大丈夫! これからここ通うんだし、毎回来る時の楽しみにしたいし!!」
「……そっか」
その楽しみを奪うのは良くないもんね?
僕が頷くと、エディはにかって綺麗な歯を見せて笑ってくれた。
さて、帰ろうと言う感じになったエディを……またレイザーさんが肩を掴んで端に連れてっちゃったんだよね?
今度は長めにお話しているようだった。
「あ、店長さん。僕らも今のうちに買っていいですか?」
「俺も腹減ったしなー?」
「はい! あ、シェリーさんにいい新商品出来ましたよ?」
「え! ほんとですか!?」
お話の邪魔はしたくないので、僕は僕で接客をすることにしました。
次回は17時過ぎ〜




