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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第86話『甘いチーズ蒸しパン』②

お待たせ致しましたー

 これはもしや……久しぶりの、悪どい冒険者達の襲撃手前?


 だって、ギルアさん達とは全然違う雰囲気の……めちゃくちゃ、柄の悪い冒険者って感じの男の人達だもん。


 貴族さんとかは見当たらないけど、遠巻きに見ている他の冒険者さんとかはハラハラしている様子で見ている。



「え……エディ?」


「あ? ケントか。悪い、すぐ片付けるから」


「「「んだと、ガキぃ!?」」」


「ひっ!?」



 僕はその声に恐怖を感じたけど、エディには全然効かないのか口笛を吹くだけだった。


 だって、背中に背負ってた獲物らしいちょっとボロい大きな斧を振り下ろしたのに……エディは全然余裕なのか、腰にある剣とかは抜かなかった。



「んな鈍ら振りかざして勝てると思うか?」



 と、エディが言い終わると。


 ヒュッ、と風が吹いたかと思えば……ガッ、と言う大きな音がして、男の人達が次々に倒れていった!?


 起き上がることもなく、また風が吹いたかと横を見ると、エディが肩をゴキゴキと鳴らしていた。



「あ〜……久しぶりだから、俺も鈍ってんな?」


「い、今の……エディ、が?」


「軽くのしただけだ。殺してねぇよ」


「う、うん」



 エディ……出会ったばっかりだけど、レイザーさん達みたいに強いんだ。


 同い年って言ってたけども……エリーちゃんのように、ランクの高い冒険者なのかな?


 ちなみに、のびた柄の悪い人達は……すぐに騒ぎを聞きつけた、衛兵さん達に連れて行かれた。事情については、エディが。



「ケントのパンを勝手に強奪しようとしてたのを、止めただけだ」



 と言う説明に、周りのお客さん達も頷いてたので……エディには感謝してもしきれません!!



「エディ! 好きなパン持ってって!!」



 御礼も兼ねて、僕は他のお客さんの許可をもらってから……少しだけお店をエディの貸切状態にしたんだ!!



「へ? いいのか?」


「うん! あ、お金がいいなら生産ギルド経由でなんとかするけど」


「いや、いい。金には困ってねぇから」



 ぐるっと店内を見渡したエディは……どれがいいのか、表情からは『興味津々』なのがすぐわかる。


 いくらでもいいのに、しっかり観察してくれる様子は好感を持てるね!


 とここで、新作のチーズ蒸しパンを思い出したので、棚からひとつ持って彼の手に載せてあげた。



「はい、これさっき作ってたパンだよ!」


「……これ、パンなのか?」


「二種類のチーズを使った、お菓子みたいなパンなんだ! 試食してみて!!」


「いいのか!?」



 おお……イケメンさんの満面の笑みはまぶひぃ!?


 エディは僕が頷くと、遠慮せずにチーズ蒸しパンにかぶりついた。



「……どう?」



 味見は一応したけど、こっちの世界の人に合うかな? とちょっとだけ心配にはなったが。


 エディは、飲み込むとすぐに両手を振った。



「超うめぇ!! めちゃくちゃ柔らかいのに、甘いしくどくねぇし……ちょっと塩気あるけど、むしろそれが美味い!!」



 体が光ったのもあり、ポーションの効果もきちんと効いているようで何よりだ。


 エディは持っていた蒸しパンを全部食べ終えると……僕の肩を軽く叩いた。



「?」


「こりゃ、あんな冒険者とかが狙う理由もわからなくねぇな? なんか精霊の護りもあるようだが……ケント、気をつけろよ?」


「う、うん」



 ラティストの素性は簡単に言えないから、首を縦に振ることにした。


 それと、エディにはまだパンを選んでもらいたいので『どれにする?』と聞こうとしたら。


 扉が、勝手に開いたのだ。



「おい、ケント!? 大丈夫……だ」


「「ケントさん!!」」


「でーじょうぶか!?」



 何故か、『シリウスの風』が全員来たんだけど……レイザーさんは、エディを見るなり隻眼を丸くして。


 エディは……明後日の方向を向きながら、口笛を吹いていた。


次回はまた明日〜

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