表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/706

第81話 貴族おじさんの推察

お待たせ致しましたー

 本当に……興味深い子達だったよ。


 いや……おそらく、娘が気にかけていた青年は『人間ではない』だろうが。



(……『ラティスト』か)



 国史どころか、世界に刻まれている……不明の『創始の大精霊』。


 伝承も不可思議な部分は多いとされてきたが、あの美貌に加え……少しだけ尊大な態度。


 まず間違いなく、あの者が『ラティスト=ルーア=ガージェン』本人だろう。


 何故、あのような少女のような顔立ちに近い……ひとりの職人のそばにいるのかは不明だが。彼の師となっている、エヴァンスに聞いたとしても……成り行きをおそらく答えてはくれないだろうね?



「……しかし、あれだけの種類の……見知らぬパンを彼らだけで作るとは」



 娘のルカリアが買ってきたと言うパンを見た時も驚いたが……それ以上に出揃っていた。


 しかも、あの『ケント』を見た限り……まだまだあの小柄な身体の中には、様々なパンの知識があるだろう。個人的には後ろ盾になると決めたのなら、徹底的に調べ上げたいところだが……あのラティストがいるのならば、妨害される可能性が高い。


 でなければ、ルカリアが影に調べさせた時点で、それくらいの情報はすぐに手に入るだろうに……彼らからは『不明』としか出なかった。


 代わりに手に入ったのが……エヴァンスの情報だからだ。


 馬車に揺られながら……私はケントが試作品だけど、と簡易的に包んでくれた『ムシパン』と言うものを眺めながら、情報を整理していた。



「このパンも、随分と不可思議だが」



 説明を受けたが……普通に焼いて火を通すのではなく。蒸気……つまり、湯気などを操って火を通す方法で。下手をすれば白パンよりも柔らかい食感らしい。


 味付けは、いちご以外に……牛乳を甘味料として加工したものを使っているようだが。


 ひと口……食べてみるか、と包みを開けると。半円に近い、不思議な形をした薄ピンクと白が混じった……いちごの香りが強い菓子のように見えた。


 説明を受けなければ、これはパンに見えない。


 だが……良い香りが鼻をくすぐる。


 引き寄せられるように、ひと口かじった。



「……ほう」



 甘い。


 まずそれが出るが。


 不思議な甘さだった。甘味は強く、いちごの酸っぱさもあるのに、嫌な味わいではない。


 いちご以外の……説明にあった牛乳を加工した甘味料のせいもあるだろう。物足りなさを全く感じさせず、ほわほわと柔らかな食感の生地と非常に相性が良い。


 そして……少し、体が光ったが。


 馬車に長時間揺られていたことで、消耗していた体力などが回復していく……その過程が、ルカリアが買ってきたパンとまた同じだった。



「……これは。まさしく、本物だな」



 エヴァンスが師と言うのは、おそらくギルド側が考えた救済措置だろう。


 あの青年……それと、ラティストが加わっていることで、既に成立しているのだろう。


『SS級錬金術師』と呼んでも差し支えないように思えるほどの、高度な錬金術師としての技能を。


 これは……陛下方にお伝えするのがとても楽しみになってきた。


 ルカリアの方は……いっときの恋心とやらで済まないだろうが、今は野放しでいいだろう。

次回は17時過ぎ〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ