第705話 サプライズ計画第二弾
「今度はヴィンクスの方か?」
「お師匠さんのだからね? 絶対、素敵なお式にしてあげたいんだ」
今日は前もってエディを呼んでの打ち合わせ。エリーも参加したかったけど、パーティーの依頼が立て込んでしまったから欠席。まあ、段取りは彼女とほとんど打ち合わせしたから、こっちは資金面とかについてかな? 女性の衣裳関連については、ルカリアちゃん経由でルゥさんにも連絡済みだからお師匠さんのタキシードの方も大丈夫だろう。
「前は、生産ギルドでやったもんな?」
「場所は今回もそんな感じかな? 披露宴だけうちうちでって感じ」
「あのケーキうまかったよなあ。……また作んの?」
「今度は平たいよりは『段』をつけたホールウェディングにしようと思うんだ」
「よくわからんが、でかいのか?」
「めちゃくちゃ大きい」
「……気になるぜ。俺はどーしたら、いい?」
「んー。材料費、をお願いするくらいかな。僕だけでもいいけど共同ってことにしてもらえないかなって。君お師匠さんには昔からお世話になっているんでしょ?」
「まあな。国王としても、あいつのポーションには世話なりっぱなしだ。味の調整が、今ならわかるが転生者ってことでうまいんだよな?」
「ふつう苦いの?」
「めっちゃまずい」
たしかに、子どもの風邪薬の要領でいけば……腕前もだけど、味を気にするのならお師匠さんくらいなら適任だ。甘いとか酸っぱいとか。飲む人の好みに合わせて調整するのも簡単そうだ。なら、小さい頃からお抱えに近いような高ランクがお師匠さんにあってもおかしくない。
なので、ポーションパンを作れるようになってしまった今では……そっちはデメリットだな。結構えぐい効能もお師匠さんが作ったことにしても、イーシャ様のやり過ぎだと思う。まだ外れていないらしいから、自分で料理せずにジェイドやレイアさんのご飯を素直に食べているそうだ。それはそれでお幸せ状態?と思うけど……それはさておき。
「ケーキの中にも仕掛けをしたいんだよね?」
「仕掛け?」
「単純にクリームや果物を挟むんじゃなくて。菓子パン系を詰め込むんだ!!」
「え、味がまばらにならね?」
「僕がいた世界だと、調整してそんなびっくりケーキをつくることがあったんだよ」
「なにのために?」
「驚いてもらうためもあるらしい?」
「なんで疑問形?」
「自分で食べたことないから」
「おい」
漫画とかテレビとかのイベントとかでしか、そういうの見てなかったしね。けど、あれは絶対お師匠さんもレイアさんも喜ぶと思うんだ!! スポンジを薄く焼くくらいはカステラの要領で出来るから、内側に詰める菓子パンたちの配置はきっちりしなくちゃだ。
びっくりで美味しいものに、お師匠さんが喜ばないはずないから!
「とりあえず。そのケーキ作るのに予算が少々……」
「味見すんの?」
「するけど?」
「全部は無理だが、ときどき呼んでくれんなら!!」
「おうけぃ。ギルハーツさんにもちゃんと言うんだよ?」
「……爺にもかよ」
「今回もちゃんと言ったんなら、次回以降も当然だよ」
「……お忍び」
「『エディ』はそうじゃないんでしょう?」
「……はい」
マブダチだからいいけど、国王様の世話役は僕じゃないんだけどな……。とりあえず、資金は確保できたので試作は随時始めていこう!!
次回は金曜日〜




