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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第698話 忘れてた

「あ。アナウンス、忘れてた」

『忘れてたですみませんよ、これは……』

「……てっきり、以前の夢渡りで伝えたと思ったんだが」



 そろそろ頃合いだろうと、ヴィンクスにもいろいろスキルを付与させた段階で『製造化』とやらに紛れ込ませたのだが。


 本人が特にスキルを使用しないままなので……今まで、眠っていたかもしれん。ヴィンクスご希望いう『倍倍パン』の製造で、まさかようやく開花に至るとは思わんかったが。とりあえず、いきなり過ぎて効能がえぐい内容になっていた。


 ケントの『師匠』であることを考慮しても、ヴィンクスの方がランクアップされたものが出てきたからだ。



『……これは盛大に、ヴィンクスが荒れますねぇ?』

「ジェイドを通じて、我が『見習い』だとも知れたら……加減、してくれるだろうか?」

『どうでしょう? ケントとも話し合わないとややこしくなりますよ?』

「……だよな」



 だよな? そうだよな!? 我のせいとかで、ラティストとかはまた毒蛇の睨みのごとく怒るだろうな!!?


 ともあれ、このままではヴィンクスがまた引きこもり状態へと逆戻りしてしまうのでいけないな。恋人も出来たのだから、もっと仕事へ意欲的になってほしいから増やしただけなのだが……よく、なかったのだな。少し、我も反省しよう。



『しかしながら、ヴィンクスの普段の仕事もあります。パン製造に時間を割くのは難しいのではありませんか?』



 シロトの発言を聞き、我はどうやら違う『うっかり』もしていたようだ。ただ単に、ポーションパン製造を可能にするスキルを付与させておけば、ケントの労力も少し緩和するのでは……と、神也に考えてはみたものの。ヴィンクスはヴィンクスだけでもS級錬金術師としての仕事を吟味しつつ……今の生活を送っていたのだ。


 食わず嫌いの依頼を受けるかどうかではなく、元日本人の気質もまじえて『選んで』いるのだ。だからこそ、エリシオンらにも信頼されている錬金術師だというのをすっかり忘れていた。



「……出来心ではないが、えいっとしとくのはダメだったか」

『それに高性能とも言える兵器を作ってしまったものですよ? こればかりは、確認者が多いのでいけませんね。ケントにもすぐに伝わってしまうでしょう』

「……ダメだったか」

『自画自賛になりかけてもダメです。ともあれ、『商法』としてはひとつの手段が出来たかもしれませんが。……彼らがそれを実行するかもわかりませんしね」

「……オークションか」

『こればかりは。ロイズが立ち会っていましたし、その提案くらいはすぐに浮かんだでしょう』

「……倍倍パン。買いたかった」

『オークションはお金がもったいないので、い・き・ま・せ・ん』

「……はい」



 そんな、態とらしい言い方をしなくてもわかってはいたのだが。金の精製し過ぎは禁忌にも繋がるので非常によろしくないからそれは諦めることにして。


 もう少し、水鏡を覗きながら彼らの動向を見守ることにした。ロイズは提案するか渋っている顔だが、なかなか出てこなかったら念話でジェイドをこちらに呼ぶしかない。……というか、させた方が無難か??


 合図だけすれば、すぐにジェイドの意識体がこちらにきたが。『ばーか』とか言いながら、チョップはやめてくれ!? 精霊は意識体でも重力付与出来るんだからぁ!!?

次回は水曜日〜

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