第690話 神獣だろうが、反省させます
「……無理言わないで」
「「えー!!」」
ハムスの提案はなんとなくわかった。もともと劣悪な環境下にいたマリアナちゃんの性格上、今は特に癒しが欲しいことも彼女の意見としては耳に入れた。
かと言って、実現するかと言われれば、どだい無理です。
「あのね。僕とカウルは偶然。ハムスはリトくんと契約したいって自分からきたんでしょ? あと、それなら……で、ハムスの提案も却下するから」
「えー……なんでわかるの?」
「無茶ぶりでしょ!? マリアナちゃんも驚くで済まないからダメ!!」
それなら神獣の誰か引っ張ってこれば?とか言い出し兼ねないハムスの提案は合っていたようだ。言われる前に釘刺して置いて良かった……。
「す……すみません。変なこと言って」
だけど、マリアナちゃんが激落ち込みするのは非常によろしくない!! ということで、忘れてなかったけどスインを抱っこさせて上げていた。スインは色々特殊だけど……正確には獣魔じゃないしね。
「いやいや、こんな特殊環境に興味持つものが出たら気になっちゃうよ。逆に教えてくれてありがとう」
「あ、はい」
「でも、獣魔で言葉を話す個体はすっごく少ないらしいよ? それに、ちょっと厳しいこと言うけど。自分のことを優先しなくちゃの今で、他の存在を粗雑に扱わない自信ある?」
「! わからない……です」
「でしょう? だったら、うちにいる時は迷惑にならない程度は遊んでいいから」
『い……い、よ?』
「あっしもいるでやんすー」
カウルの足元すりすりがよかったのか、マリアナちゃんはちょっとだけ笑顔になった。和むなあ……こう言うほんわかしたの。とりあえず、獣魔問題はペットと似た感覚を植えつけちゃいけないのを言って……そのあとはいつも通りの仕事分担に戻りました。
「……簡単に与えちゃ、ダメなの?」
僕の仕事がひと段落したとこで、ハムスだけがやってきた。ちょっと反省というか感覚が色々違うんだろうね。反省も兼ねて、知りたい様子だった。
「与えるのは簡単だよ。けど……責任もって、共同生活しようにも彼女は今までが大変過ぎたんだ。いきなり、癒しの意味だけで傍にいてもよくないよ。神獣でもね?」
「……うん。わかった」
そろそろオーブンモードが必要なのか、ハムスは返事をしてから行ってしまった。ハムスもムードメーカーに見えて、ちゃんと考えようとしてたんだろうね?
与えたあとのことを考えるべきなのは、当事者になって後悔したら意味ないもん。僕も他人事じゃないから、今回は厳しめにしたわけです。
ただ、この話を横で聞いてたラティストは自分の言い出しっぺは……僕にとって大迷惑だったんじゃないかと変な反省してました。そうじゃないから!!
次回は金曜日〜




