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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第681話 副リーダーのやる気

 シュディア公国がきな臭いのは、前々から報告はあったけどぉん?


 それよりも、遠征から戻ってきた『シリウスの風』……メンバーの中でも、トラディスちゃんが怒っているのよねぇ??


 いたいけな、女の子を虐げられていたって話はあたしでもムカつくけど……それ以上に怒っている感じなのよん。いつもは温和で癒し担当の彼が、そこまで怒るのは見たことがない。


 冒険者として……よりも、個人としてかしらん? たしか、クレイヴ王国の王子と判明する前は、奴隷紛いな仕事させられてたって聞いてるから……自分と重ねた??



「とりあえずぅ? マリアナちゃんは、しばらく冒険者ギルドの保護観察になるけどー」



 適切な対応になる言葉を告げても……トラディスちゃんのピリピリした空気は止まらないわぁ。レイザーちゃんたちも困っているようだし、どうすればいいのよん??


 普段大人しい子のキレたお問い合わせ……ロイズにしたいけど、ここはギルマスとして頑張らなきゃだわぁ。



「…………マリアナちゃん?」

「あ……はい」



 エリーちゃんとかに服は買ってもらったし、お風呂にも入らせてもらえたのか。綺麗にはなって、貴族令嬢らしい愛らしさは出ているけど……自信なさげとか色々抱えているのに変わりないわぁ。



「シュディア公国が、って言う情報……そこの皆以外には、まだ言ってないわねん?」

「は……はい」

「辛いでしょうけど、あとでギルマスのあたしからの個人面談でも……話してくれるかしら?」

「も、もちろんです!」




 ただここで、お腹が空いてきたのか虫の音が聞こえちゃったのよねぇ? トラディスちゃんもちょっとびっくりしてたけど、レイザーちゃんに何か告げてから出て行った。あとには、ジェフちゃんも行っちゃったけれど。



「粗雑な対応……の結果ねぇ? ご飯もまともに食べさせてもらえなかったのん?」

「……皆さんにいただいた、美味しいパンが何年かぶりの食事でした。いつもは牢部屋で水しか」

「証人は貴女でいいでしょう。シュディア公国には相性最悪のヒーディア国に来ちゃったんだもの。うちの国の陛下がこの事を調べ上げたら……終わりでしょうねぇ?」

「ほ、ほんとですか?」

「えぇ、おそらく」



 ケントちゃんのための改革の一部になるでしょうけど……こんな可愛い女の子を屑扱いする王族なんて、超絶腐り切っているに違いないわぁ!! あたしもだんだんイライラしてきたけどぉ、マリアナちゃんの前では優しいお姉さんの装いでいなくちゃねぇ?



「買ってきたぞー」



 ジェフちゃんが戻ってきたかと思えば、あとから入ってきたトラディスちゃんにテーブルを借りていいか聞かれて……広げた荷物の中身は、ケントちゃんとこのポーションパン。


 どーやら、マリアナちゃんのために色々買ってきてあげたようね? キラキラ笑顔になっている彼女の様子に、やっと少し落ち着いた笑顔になっていたんだもの。



(……トラディスちゃん、下手にシュディア公国へ乗り込んで壊滅させそうな勢いだわぁ)




 境遇の似た子のために、正義感以上の『責務』を露わにしたんだもの。あとでギルマスとして注意したら、シュンってなるんだから……危なかったわねぇ。


 これは、国際問題にもなるから陛下へと急いで魔法蝶を飛ばしたわー!!

次回は金曜日〜

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