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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第68話『ポーションパン実食』

お待たせ致しましたー

 即答した私に対して……敵情視察だと、ロイズが言ったにも関わらず。『ケント』と言うパン職人の男はニコニコしているだけだ。


 ラティストの方からは、相変わらず怖い視線が痛いくらいだが……私はとりあえず、ケントがトレーで持っている『カレーパン』を手にすることにした。


 顔に近づけると、油の独特の匂いもだが……カレーのスパイシーな香りもしてきた!!


 転生してかれこれ、三十年。


 レトルトも無いこの世界では、カレーもだがハヤシライスも存在していない!!


 あっても、シチューくらいだが……ビーフシチューはない!!


 あと、シチューもルゥがないから、めちゃくちゃ面倒!!



(いいや! そんなことよりも)



 今目の前にある、カレーパンを口にせねば!!


 これがポーションのパンだといまだに信じられないが……食べないわけにはいかない!!


 鑑定のスキルがないので……どんな効能があるかわからないが、腹も減っている今は!! これがご馳走にしか見えないのだ!!


 すぐに、かぶっと口に運んだ!!



「……うま!?」



 カレーの辛味は、中辛ほどではないが……甘口寄り。少しピリッとする程度。


 肉はごろっとしているが、柔らかく煮込まれていて……歯で簡単にほぐれていく!!


 野菜のほのかな甘みが!!


 その柔らかさが!!


 すべてが、サクサク……もちっとしたパンとの相性が良過ぎて!!


 もぐもぐしていくのが楽しい!!


 コンビニ以上に、街のパン屋の味だ!!


 めちゃくちゃ美味しい!!



(お……お?)



 賛辞を述べようとしたのだが……身体が発光していく。ポーション特有の効果発動の証。


 私自身……特に不調などはないと思っていたが。


 ポーション屋としての激務からの寝不足。


 これまでの空腹。


 ポーション製造での傷がいくつか。


 それらが回復……していると言うのか?


 なんか、身体がスッキリしていくんだ!!



「……さすが、ケントだ。ヴィーの傷も……だ」



 ロイズが感心したようにいう言葉が、途切れた?


 私は、たしかにポーションの効果が表れているのに納得しかけていたが。


 奴が、魔法で水鏡を顕現させて……私に見るように催促してきた。



「……あ」



 不潔……に近いくらいの身なりが。


 今のカレーパンを食べたことで、『どこぞの貴族?』と言わんばかりの……貴公子ぽく変化していた。


 髪はサラサラ。


 肌ツヤツヤ。


 服装もローブだが、めちゃくちゃ綺麗に。


 目もぱっちり、グリーンアイが見えたのはいつぶりか?



「すっご〜い!! ヴィンクスさんってそんなカッコ良かったんですね!!」


「……見違えたな。あのパンの効能のせいだが」


「……マジで、ヴィーか?」



 自分の腕を誇張しない……ケントは。


 本当に……日本人らしいと言うくらい、素直で良い子過ぎだ。



「……カレーパン凄」


「あれ? 僕パンの名前言いましたっけ?」


「あ」



 自分でポロッと日本の知識暴露してどうするぅ!?


次回はまた明日〜

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