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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第678話 どこに行けばいい?

 どこに行けばいいのでしょう?


 私は私のすべきことに一生懸命だったはずなのに。


 認められなかった。


 捨て駒だと言い渡された。


 生きるも死ぬも勝手にしろと言われただけで……居場所を失った。


 浴び続けて来た『穢れ』をこの身に受けたのだから……いずれ死んでしまうのも当然。


 私はただただ、祖国のために人柱を望んだだけなのに。


 役に立たないからと、協会から放り出された。


 これまでずっと、先に死んでいたと思った『人柱』も皆こうされてきたのだというのか。



(……なんて、屈辱)



 皆、国のためを思ってこの国に命を捧げたのに。


 この国は、芯から腐っていたのか。王族貴族彼ら全てなのか??



「……ひ、どい……」



 力のある子どもを集めに集め、癒しの仕事だと力を吸い尽くして……あとは要らない身体を捨てるだけ。


 そんなこと、神の所業だと誰が言ったのだろう……??


 誰が……人間が?


 家族とも引き離したあとは、そんな屑の一端に関わったと言うのか。



「……だ、れか……」



 この声が聞こえて。


 届いて欲しい、我が国の悪しき風習を。


 他国で癒しの薬が出回った途端、被害者が増えていくばかりの……我らの咎をどうかどうか、止めていただきたい。


 私のように、貴族の末端からでもその所業が露見になったのだ。


 だからこそ、赦してはいけないのだ。


 投げ出された池に沈みかけてたけれど、なんとか気力を振り絞って反対の岸辺へと泳ぎ……荒い息を整えながら、引きずるようにして身体を動かした。


 誰か。


 誰……か。


 届いて……。


 助けて……!


 私じゃなく、この国を……。



「……どうしたの?」



 声が届いたのか。


 誰かが来てくれた。剣を背負っているから……冒険者だろうか?


 けれども、話を聞いて来れるかもしれない気持ちが動いて。私はその人に縋り付いてしまった。



「……た、す……け、て」

「うん。見てわかるけど……それだけじゃなさそうだね」

「……わ、が……国」

「貴族の子? にしてはびしょびしょだけど、その池に?」

「…………捨てられ、た」

「わかった。僕の仲間のとこに連れてくから」



 しっかり聞いてくれる相手に出会ったのは、いつぶりだろう。父母に協会へ明け渡される前だろうか? それだと、相当前かもしれない。


 頷いたあとに、気力が限界だったのか意識を失っていたけれど。その人が何か言っているような声と温かい布に包まれた感触が心地良くて……久しぶりに、きちんと寝てしまっていた。



(……よかった、間に合った)



 その感情が浮かんだ時には、目が開いた時だった。他に話し声が聞こえたけれど、『大丈夫?』の声と同時に自分がいろんな布で温めてもらっているのがわかり……女性だと思う影に、また縋り付いてしまった。

次回は金曜日〜

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