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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第670話 ど新人の洗礼?のはずが

 なんで、私なんかが??


 たしかに、どこも仕事がもらえずに困ってはいたけど……。


 倍率の高い、ポーションパン屋『スバル』の販売担当に採用されてしまった。


 何度も採用通知の紙を見直してはいたけど……本当だったのは何度も確認出来た。だからこそ、頑張らなくちゃって研修初日に挨拶は一生懸命……になったと思う。


 店長で、ポーションパン製造の偉人とかで有名なケントさんは……私よりも年下で、温和な男の人だった。


 それと、もうひとりの先輩は……まだ教え処を卒業して間もない男の子?? さらに秘密は、それぞれの獣魔がポーションパンの焼き上げに必要な『道具』へ変身。


 こんな……市井でも、記憶力以外底辺の人間になんでギルマスは認めてくれたのだろう?? 全然意味がわかんない!? けど、いっしょに採用されたキリアさんは……ラティスト先輩の指示で、配達に行っちゃったからお話出来ない。


 と言うか、ちょっと怖い雰囲気がラティスト先輩より強いんだよなあ……。先輩は、販売担当のルカリア先輩の旦那様……らしい。たしかに美男美女でお似合いだけど、夫婦でお仕事も凄いなあ……。



「ポーションパンの中でも、基本はこの一覧です」



 種類が多いので、一覧の紙を見せていただいたが。味が違う以外は、だいたいこの並び……と目を通してから、棚の名札と比較。


 これだけでぱぱっと覚えるのが、今までだと盗っ人扱い受けた仕事場も少なくない。



「……覚えました」

「あら、ご無理なさらずとも……いいえ、ギルマスからお聞きしていた『記憶力』が?」

「で、出しゃばってすみません!! えと、嘘ではないのですが」

「ご心配なさらず。鑑定眼鏡と鑑定士として有能なギルマスが選抜しましたもの」

「……ありがとうございます」



 たしか、貴族のご令嬢だったはずなのに。偉ぶったりしないし、優しいな……。だけど、きちんと説明してくれる中に責任感を感じ取れた。


 これは、ちゃんと仕事しなきゃ……と開店時間になったら、私は袋詰めを主に頑張ったんだけど!?



(か、会話の余裕もない!? どんどんお客さんが来て……)



 気づいたら、棚のパンがほとんど無くなってしまうくらいの売れ行き。これが、ポーションとしてもだけど……パンとしても人気のお店。


 たしかに、研修前はあまりの混み具合で行くのを躊躇っていたが……これでは、常連じゃないと買いに行きにくいのも納得。


 今朝は、店長からリトくん(先輩と呼ぶと泣きそうになったから)の試作の味見はさせてもらったが、パンの生地だけでも美味しい。


 おまけに、眠気覚ましの効能もあったから、緊張どころじゃない仕事の流れでたくさん働いた気がした。


 この流れを……今までルカリア先輩がほとんど? 店長やラティスト先輩も手伝ってくださったけど、ほとんどルカリア先輩だけでお客さんの相手をしていた。



「袋詰め、助かりましたわ。同時には、会計がラティスト様と二人でもなかなか出来ずだったので」

「……そうでしょうか?」

「ええ。もう少し、流れに慣れれば交代も可能性がありますわ」

「えぇえ」



 なんで、ギルマスが推薦してくださったことがあっても……ここの人たちはこんな優しいのだろう? ほっぺをつねっても、夢じゃないのは本当だったが。


次回は月曜日〜

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