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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第67話 彼は何者か

お待たせ致しましたー

 私の素性がわかっても……ラティストではなく、店長らしいパン職人の男。


 名前はまだ知らないが、こののほほんとしている男自身が……自分の知らない、高度な錬金術をモノにしているのなら!!


 目の前のカレーパンも食べたいが、どう言う技術で可能にしているか知りたい!!


 んでもって、久しぶりに見た『日本のパン』を食べたい!!? 後半……は、本音が出てしまっているが。普段ろくに自炊しないのは前世でも現在でも同じだからだ。



「えっと……すっごい錬金術師さんってことで?」


「……ああ。そう認識して構わない」



 A級と聞いて、ちっとも驚かないあたり……やはり、私と同じ『日本』から来た転生者かもしれん。とは言え……幼馴染みのロイズにも長年秘密にし続けてきた真実を、目の前の男に言っていいものか。


 あと……ラティストからの視線が怖過ぎて言った方がいいとも思ってしまうのに、心が揺れている!!


 美形のガン見めっちゃ怖!?


 芸能人とかも、演技じゃない限りしないだろう!!?



「おーい、ケントー!」



 外からロイズの声がした。


 てか、多分店長の名前を呼んだんだろうが、思いっきり日本人の名前じゃないか!?


 だとしたら、この男は……トリップの方か?



「あ、ロイズさん! 今」



 ケント、と呼ばれた男が扉を開ければ……呪いが解除されたことでロマンスグレーとかナイスミドルとも思われる、老年の皺などがなくなり。


 私と同じ、三十路の年相応の美系オッサンの顔になっている幼馴染みだが……ラティストほどじゃなくても、カッコ良すぎだ!? おい!!



「よ! 新作の匂いがしたもんで来たんだが……って、ヴィー!?」


「……今気づいたのか」



 A級錬金術師の私を、愛称で呼べるのは……こいつ以外だと冒険者ギルドのルゥくらいだ。



「なんでここ……ああ、俺が教えたからか?」


「お前が焚き付けてきたんだろうが!?」



 こんなパンの飯テロ宝物庫が実在すると思うか!?


 しかも……これらが、全部ポーションだなんて。


 ファンタジー要素の具現化じゃないか!!



「悪りぃ悪りぃ。んで、敵情視察か?」


「さらっと言うな。……まだ信じられんが」



 実際食べていないし、ポーションの効果がどれほどのものか。


 たとえ、幼馴染みの呪いを解除出来たとしても。


 転生者として、長年ポーション屋を切り盛りしていたこっちの身になれ!!


 なんだよ、そのチート特典!?



「えっと……じゃあ、食べてみます? さっきお願いしようとしたパン」


「食べたい」



 ポーションの効果もだが、単純に空腹と至高の存在でもあるカレーパンの魅力に抗えなかった!!

次回は17時過ぎ〜

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