第668話 制服を作ろう、と
二人を採用するにあたって、ルカリアちゃんから提案があったんだよね?
「販売員の制服を作りませんこと?」
サーラちゃんは、まだアルバイトの研修に入ったばかりだけど。制服をある程度用意しておくと、これからの従業員入れ替えの時に役に立つ。
やっぱり、女の子筆頭な上に販売担当はよくわかっていらっしゃる。今までは、ルカリアちゃんだけだったから汚れていい自分のワンピをローテーションで着回していたらしい。
「……制服、をわざわざ?」
ルカリアちゃんが採寸の係を家から呼んだ時に、サーラちゃんはがっちがちになっていた……。大丈夫大丈夫、と説明してから必要性を言ったよ。
「これから人も増えていくし、予算はギルド経由で用意するから気にしないで?」
「あ……はい」
「……店長。俺まで」
「コックスーツは絶対だから、ダメ」
「…………そうっすか」
技術側にコックスーツがないのはいただけない。体格が結構いいので、ラティストの着てみても肩がダメだった。なので、同じように採寸して製作依頼しています。
色味……は黒もいいけど、ちょっと異色入れたくて紺色にしました。雑務でどれだけ汚れるかの実験も兼ねてます。
「……リト、です。よろしくお願いします!」
そして、子どもが先輩従業員なのは知ってもらっているけど……サーラちゃんとキリアさんはぽかんとしてた。聞いてなかったわけじゃないが、ここまで小さいとは思っていなかったみたい。
だけど。
「よ……よろしくお願いします!」
「……こちらが年上でも、遠慮なく指導してくれ」
「は、はい!!」
なので、なんとかなりそうかな?
けど、サーラちゃんはルカリアちゃんに任せて。キリアさんにはちょっと聞きたいことがあったから、ラティストも交えて打ち合わせに。
「キリアさん、何か武道とかしてたかな?」
「? 一応、剣を嗜む程度には」
「じゃあ、雑務で生産ギルドに配達をお願いしようかな? いつもはラティストが魔法で送ってるから、荷車使う必要ないし」
「例のオークションに出すくらいの、高ランクのポーションパンだ。ただの配達ではない」
「……なるほど。護衛任務にも近いと」
「そそ。重要な雑務」
「了解した」
なので、制服にはラティストの加護をすこーし増やした防具に仕立てあげたのでした〜。
「カウルでやんす!」
「ハムスだよー!」
そして、最重要事項の『ポーションパン』製造のオーブンになるカウルたちを紹介したら……二人とも、お口あんぐりだったのです。
まあ、これくらいはしょうがないと思ってもらい、それぞれの研修が始まったのも二日後から!!
次回は水曜日〜




