第666話 考えてなかったらしい
「……俺は、ダメな国王だぁあああああ!!」
エディが半分息抜きも兼ねて、リオーネに飛んできてくれたまでは良かった。
だけども、打ち合わせ当日には『ガッデム!(古い?)』のような打ちひしがれを披露。
どうやら、リトくんが僕の弟子になっているから……逆の可能性を見出すことを見落としていたんだって。たしかに、王様としては教育機関の創設は凡ミスかもしれない。
「でも、僕も神様に言われるまで思いつかなかったし……お互い様だよ」
「! そうか。……しかし、学びの基礎。むしろ、錬金術師以外の可能性も考慮しないと」
「やっぱり、この世界に『学校』って場所も概念もないんだ」
「学ぶなら、実戦。というのは、主に冒険者らの暗黙のルールと言っていい」
「けど、これから変えていくのも」
「充分間に合う。俺が若手であれば、反感買うと同時に燻りかけてた奴らを招集出来そうだ」
「ほどほどにね?」
「でも、ガッコーって座学以外……それぞれの実践演習とか盛り込めばいいのか?」
「あとは……自立したいなら宿舎というより、寮生活できる場とか。授業も盛りだくさんよりは、少しゆとりのある別のを入れるのもいいね」
「ケントもそんなとこで学んだのか?」
「最後のとこは在学途中だったけどね?」
もう一度学び直したいとこはあるけど、今はきちんと切り盛りするお店の店長だから……そんな時間はないかな。中退して就職した感覚でいないと、割り切れないしね?
「大学機関で言うなら、一応は卒業した記憶がある私の方が詳しい。まあ、王立研究機関と大学院は差が少ないと思うが」
お師匠さんもちゃんといるのを忘れてないよ? おやつにはがっついていたけど……今日は半熟卵入りカレーパンだからね。
「んじゃ、大雑把な体制は二人の経験談を基に……俺が政策として提案する。王侯貴族だけじゃつまんねぇ……市井も学べるのは教え所以外にも作ってやる!! つか、リトにその役目を与えんのどーだ?」
「え、教師側で?」
「無理無理。違うって、生徒の第一号に」
「「ああ、たしかに」」
自分で弟子入り修行を言い出した本人が悪いわけじゃないけど……そんな場所が出来たのに、置いてけぼりは可哀想だ。でも、そこそこ一人前になった今……僕も結構頼っているしなあ?
まずは、本人の意思確認から!って、リトくんを呼んできたら。
「クビ……ですか?」
「違うから! もっともっと、色んな経験を積む場所に修行……って言い方になるけど」
「でも……お店」
「そこはなんとかするし、むしろいっぱい頑張って帰ってきて欲しいんだ」
「! がんばれるんですか?」
「最初は注目集まっちゃうだろうけど……今は君しか後継者がいないのも大変なんだ。場所が出来てからでいいから……行ってもらえるかな?」
「はい!」
まあ、僕が今出来るとすれば……パン屋さんに、製造希望の働き手募集をお願いすることかな?
スバルも、そろそろ決まった面子以外ローテーションできるように、求人広告みたいなのはロイズさん経由で頼みました。ロイズさんが選考基準作るから……めちゃくちゃ厳しいけどね!




