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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第651話 既視感あるお客様?

 声を掛けてあげた小さな男の子、と思った人物は。


 すこーし、平安時代ぽい和服を着こなした大人の男性へと変身……いや、この場合戻ったのかな??


 マーベラスさんぽい雰囲気があるけど、なんとなくこちらさんの方が上品な感じ。背丈が大きくて、ラティストと同じくらいかな? ラティストがイラッとしてたから、変装してるのを怒ったみたいだ……。



「失礼。吾輩はとある国の国使ゆえに……忍んで参った者だ。名をセディアと申す」

「ど、どーも、はじめまして……。この店の店主でケントと言います」

「そうであったか。若い身なりゆえに驚いた。……この店、馳走の匂いはするが、冒険者の出入りが異様に多かったな?」

「あ、はい。……ポーションパンの店なんで」



 他所の国だと、最近はファルさんが来てくれたけど……??


 この人は、本気でここを知らないまま来た……調査隊の人なのかな?? なら、ラティストが警戒をまだ解いてないのも納得だし……なんか怪しい感じではあるけど。


 でもまあ、ポーションパンのことを言ったら。お口あんぐりのリアクションは久しぶりだから驚いた。すぐに、懐から出した扇子で口元隠してたけど。



「……風の噂程度だと認識していたが。ここがそこだと?」

「はい。ヒーディアの国王様にも御用達だと任命されてます。表の看板近くに紋章ありますよ?」

「……迂闊」



 へのへのと萎れるように倒れていくのは面白いけど……ここ店先だから、そろそろ入ってもらうことにしました。



「……ここの棚にあるのが、全部ポーションになったパンです」



 ざっと説明してどんな反応をするか、ラティストと見守っていたけど。また口元を扇子で隠してたのも、意味がないくらいキラッキラも笑顔になってた。


 まだ、ラティストの警戒態勢が解けてないから試食はさせてないけど……僕の勘では、そんな悪い人に見えなさそう?



「これが!? 全部!!?」

「あ、はい。効能は一律して回復薬メインですが」

「……しかしながら、美味そうな」

「はい。これでも職人なので味は保証します」



 と言っとかないと、後ろのラティストが怖いし……エディに美味しいって言ってもらっている分、ちゃんと腕はあるって自信持たなきゃだから。



「! 疲労回復を主に購入させていただきたい!! あ、甘いのはあるだろうか!!?」

「あ、はい。こっちです」



 ダメだ。笑いを堪えたいけど……テンションがお師匠さんとマーベラスさんを足して割ったくらい面白い人だ!!



「けーんと。おもろい試作品出来た」

「あ」

「へ?」

「あぁ!!?」




 とここで、マーベラスさんの登場だったけど……こっちのお兄さんを見るなり、拳骨を脳天にお見舞いしてたぁ!!?


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