表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

650/706

第650話 お忍びなのか?


「……リオーネが、栄えているのだ」



 吾輩は、遠方の友人からヒーディア国の噂を耳にし。


 その中でも、リオーネが一番栄えているとの情報を入手した。と言うか、その友人が絶対に行くといいと言ってくれたからである。


『稀代の錬金術師が二人も存在』。


 そんな夢絵空な出来事があってたまるか、と以前ならバカにしただろう。


 ポーションの特殊な流通が、次々と検挙されて取り潰しされるまでは。


 貢献は主にヒーディア。若き現王が今後の流通に目をつぶっているわけにもいかないと……本格的に動いたのが一年くらい前。


 最初は微々たる影響が、今では大陸の半分以上となった。


 これを我が国も見逃したくはない。


 ここの友好国のうちのひとつから、ある程度の情報は得たのだが。



(……賑わっているのは、普通にしか見えない)



 ポーションが特殊な形で出回っているにしても……いささかおかしい気がする。吾輩の目には、単に市井らの生活が栄えているようにしか。


 いやしかし、過疎化するよりは断然いい。それよりも。



「……いい匂い、がするのだぁ」



 屋台の串焼きなどとは違う、香ばしくて良い匂いだ。鼻が効くので、それを頼りに人混みをかき分けていく。市場から外れて、店の並びの奥だろうか? 何か騒がしい声も聞こえてきた。



「……むむ? す、ばる……?」



 看板を見たが名前の意味がよく理解出来ないでいると……店の中を見ようと移動すれば、人であふれかえっていたのだ。ここは、何かの人気店だろうか??



「店長、助かった! あんがとなー」

「はーい。お気をつけてー」



 客がひとり出て行って、見送る店主とやらが見えたのだが。若い男なのだ! 吾輩は故あって小さくなっているが、元に戻ったら……吾輩よりも若いだろう。



『鑑定眼鏡』



 事前にアクセサリーに擬態させたそれを使い、此奴を鑑定したのだが。



(……不可能??)



 デカデカとそのように、中身が覗けないように赤の禁止事項のマークが??!


 此奴、危険人物かと思ったのだが。先程から、奥より漂う変な威圧感みたいなのに、ぐるりと振り返れば。



「ひ!?」



 美の結晶とも言わんばかりの、黒ばかりの出立ちの殿方……と思っておかねば!?


 間違っていなければ、あの方は『闇』と『炎』の大精霊!? 何故このような街中でも小さな店に……!!?


 店主を問い詰めたいところだが、大精霊様からの威圧が凄くて吾輩……縮んでしまったのだぁ。



「あれ? いらっしゃいませ? どうしたの??」



 ガチゴチの吾輩に、店主は膝を折って尋ねてくれた。そのほんわかさに癒されかけたが、ここは切り替えをせねば。


 国使と偽り、フィルウス国の王太子として!


 今日はお忍びで来たのだから!! とは言え、子どもの姿はよくなかったかと思い直したが。客足も引いたのを見計らい、吾輩は変幻を解除することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ