第636話 久しぶりに赴くも
シロトの姿で、アイスコロネとやらを購入しましたが……いやはや、ケントが持ち込んだ異世界の食事情の変化のおかげもあり。
ポーションの流通以外にも、忘れかけていた封印の解除などもありましたね……。土産は買いましたが、神にはお仕置きせねばなりません。
さておき。
「……おいふい」
甘くて冷たいのが、暑い日差しの下ではとても心地よく。パンはふわふわと柔らかい上に、香ばしくて甘ったるさを和らげてくれる。この交互がたまりませんね……神にはもうひとつを土産にしましたが、食べ切ると泣くのが面倒なので収納鞄に入れました。
「気がつくと無くなるのが、食べ物の欠点ですけれど」
仕方がありませんが、食べ物はそういうものです。ポーション自体も消費するのが前提。
とくれば、次は外からの介入でしょう。
エリュシオンが若くして王位に座し、まだ老年でない前国王夫妻が旅に出ているのは……隠遁生活以外だと、ケントが知ればどんな反応をするでしょうか。
「……さてさて。ケントのところは最後に、してたら売り切れそうですけれど、他の店も回ってみましょうか?」
チョコレート。
さらに濃厚なチョコレートを砕いて入れたもの。
果物を氷菓にしたものもあれば。
それを混ぜたりしてびっくりもあり。
あとは、ケントから聞いたのかケーキ風にしたものとか。
多種多様……過ぎて、全部買いたいのを堪えましたが!! やはり、言い出した張本人のところに行くのは正解でした!!
二種類しかありませんが、どちらも美味過ぎて一人で食べ切ってしまうと言うことに!!
「……ケントのところのを、ひとりで」
『…………申し訳ありません。せめて他ので』
「…………楽しみにしてたのに」
『……明日行きますから』
などとのやりとりで、二日連続で行きましたが対応してくれたケントはニコニコしていました。異世界に転生した事実が事実だけに、私はいくらか罪悪感を持ってましたが。
こちらでそれなりに幸せであるのなら、良かったと少しだけ思うことがやっと出来ました。流れでも、大切な友人や恋人が出来たこともありましたから、幸せのひとつを手にしたことと同じ。
あちらの方での葬儀も、それはそれは愛されていた学生だと……いつか、伝えても良いでしょうか。しない方がいいかもしれませんね。
とりあえず、次は国外を相手にしなくてはいけないでしょう。エリシオンが、私とすれ違いに駆けていくのが見えました。
また、ポーションパンがはお預けですが。サポートはサポートらしく、ひっそりとしていましょうか?




