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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第629話 まずはごめんなさいから

 ロイズに引っ掴まれ、いきなり冒険者ギルドの一室に放り込まれたかと思えば。


 恋人のレイアが泣いた痕が痛々しい顔でいたのには驚いた。誰がどう泣かせた……と聞こうにも原因は私らしい。そして、調理台の上には消し炭の『何か』。



(皿とかが焦げてないから、ルゥの魔法だろうが)



 そんな『何か』を作ってしまった原因が、レイアだとして……私が呼ばれた理由。なんとなく予想は出来るが一応聞かねばならんな。



「……レイア。何があったんだ」



 ここのとことろ、ポーション量産化の『楽』に向けて……少し忙しくしていたのは事実ではあるが。会えて嬉しくないわけではないので、少し姿勢を低くして彼女に近づいたんだが。


 何故、逆にさらに泣かせてしまうんだ!?



「ごぇ……なさい。私、知らなくて、皆さん……に」

「……ゆっくりでいい。皆、怒っている様子はなかったようだが。私も理由が聞きたい。その上で、きちんと受け止めよう」

「……ほんとですか?」

「ああ、そうだとも」

「……惚れ薬、作ったとしても?」

「…………は?」



 私がいるのに、惚れ薬を作ってしまった!!? いや、逆に考えてみれば……と叱る言葉を一瞬飲み込んだ。レイアが説明し出してくれたからだ。



「古い御伽話では、ディルデアの花は恋人といっしょに日頃の疲れを癒す食材になるって書いてあったんですが。……実際、エリーたちと作って試食したら」

「……惚れ薬だったと。で、ケントがポーションパンで解毒してくれたのか?」

「……はい」



 なるほど、よくわかった。


 古い採取資料に関しては、編集を改めていけないのは錬金術師としては仕事をせねばならんが!!


 恋人としては、無理難題を押し付けてしまい……非常に申し訳ない。決して疎かにしていたつもりはないが、結局は『媚薬ネタ』手前に持ち込みかけたのだ。


 これはたしかに、結果的には放って置いた私の責任!!




「レイア、私は怒っていない。むしろ、謝罪は私からの方が必要だ」

「でも……作っちゃいけないものを作って」

「皆から叱りを受け、きちんと反省しているのは私にもわかる。しかしながら、ここまでの経緯を作ってしまったのは私が要因だろう。今日は比較的、仕事も落ち着いているから……ふたりで過ごさないか?」

「! はい!!」

「よし。せめてここの片付けをしてから行こう」



 ルゥの管理するギルドなので、備品保管についてはまあまあ覚えてはいる。それはそれで大丈夫なのだが……我ながら、ケントの恋愛観と変わらないのだなと自分で反省するのも忘れなかった。

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