第625話 花をパンに??
ポーションパン、ではないけど。
あたしもケントの彼女になってから……ちょっとずつ野営の『パン』の作り方でこしらえることがあるの。
あたしにはスキルもないし、ポーションパンにならないのはもちろんだけど。パン生地の仕込みの仕方は基礎基本を彼に習うことができた。おかげで、『シリウスの風』での主食担当になる時は結構人気。
フランツのおかげで固いパンの使い道があるけど……柔らかいパンを食べたい日もあるからって、遠征任務の時に作れる方法をケントが教えてくれたのよね?
だから、今回の特殊(?)任務で。せっかくだからと、採取出来た例の花で『パン料理』も入れようと決めたわけ!!
助っ人もいるから、あたしひとりじゃないもん!!
「刻んで味付けしたのを」
「主食のパンにするの。どうかしら?」
「素敵ね、ヴィンクスさん喜んでもらえるかしら?」
レイアもいっしょに調理することになったけど、事前に一個お願いがあったのよね? 歳の差はあるけど、タメ口とか女友達として接してくれないかって。
びっくりしたけど、お互いの恋人が師弟関係だもの。今後親しくしないわけにはいかないから、頷いたわ! なので、それはシェリーもいっしょ。
「基本的な砂糖漬けはレイア。他は、趣向を変えたパン……味付けは濃いめの塩胡椒、よりはコンソメがいいかも」
「シンプルよりも濃いめがいいの?」
「おばあちゃんの炒めものには、塩胡椒だったらしいけど」
「いーい? ケントもだけど、ヴィンクスさんは味にうるさいでしょ?? 特にパンだと、実験から飛び出すくらい……。お菓子でも塩胡椒より、濃いめの方にいかない? ジェフも」
「「いく……!」」
「だから、混ぜ込みのときに油っぽいのは注意ね!」
全部ケントの受け売りだけど、こっちからもてなすのに知識を使うだなんて。さてさて、あたしも本格的に教える方には立ったことないけど……頑張りますか?
「花の砂糖漬けは、得意な方の私がするわ。お砂糖もちょっといいの買ったし」
そして、今回ある意味で言い出しっぺのレイアだったけど……肝心の『精力剤』については全然知らなかったようなので! 年下のあたしたちが懇切丁寧に教える事になったわ……。
純真な女性には悪いけど、がっつく可能性のある男に告げたら……ぱくんちょで済まないから対処法を教えたのよね。拳での方だけど……。
「エリー、今日のパンって具体名あるの?」
「フォカッチャって、ケントは言ってたわね?」
大きく焼けて、切れば売れるから楽って言ってたけど。
粉以外の材料の選別が楽過ぎて! 逆に味付け頑張ろうと思ったくらい……。ケントにはバレなくても、他のメンツ的には悪いけど……バレても無闇な手出ししないようにって釘を刺すの。
どーやら、シェリーよりも怒ると怖いのあたしらしいから……悪いけど、オオカミ連中への釘刺しよ!!




