第623話 異世界の結婚適齢期
コソコソっと、エディに聞こうとしたけど。
「ケント。勢いで決めちゃダメだ! まずは市民の傾向を見てみな」
とお叱りを受け、彼は彼でポーションパンをいくつか買ってから帰っていっちゃった。あれは忙しいだけじゃなく、僕は僕できちんと見定めろってことかな??
(お師匠さんくらいの年齢だと、ちょっと遅いって聞くから)
お師匠さんは最後にして、『男性目線』での事情聴取を始めることにした!! ラティストは事実婚状況だから、ちょっと除外。
「おとうさんとおかあさんの、年?」
まずは、トップバッターのリトくんだ。僕だって、エリーとの結婚は覆す気がないから……これくらいの年齢の子どもの親の平均年齢は知りたい!!
最近は接客側は時々だし、ママさんとかの年齢層がわかんない。特に、異世界のこっちってヨーロッパ風が多いから! アジア系の幼いとは逆に年齢層が読めない!!
「そう。ポーションパンの傾向をちょっと変えようと思ってね? 家族が冒険者とか多いんでしょう? 親御さんの意見も聞きたくてね」
半分くらい嘘じゃない。リニューアルくらいはちゃんと考えていましたもん! ハムスには筒抜けだろうけど、気遣ってくれたのか黙っててくれてる。
「んー? おとーさんは、三十に近いって言ってました! おかあさんも同じくらい」
「近い? ってことは、二十代?」
「です! せいじんしたあとにおかあさんといっしょに住んでたって」
「そ……そうか」
お盛んな男女の関係には、これ以上はツッコミしません!
けど、弊害が少ないと結婚適齢期とやらも早いかもしれない。婚約だけでも、生まれた瞬間でされるとかラノベではあったし。
とくれば!
「……俺に聞かれてもな」
「ジェフさん、お願いします! 色々事情あった場合で、恋人いるのはジェフさんだけですし!」
友だちの方のトラディスも、複雑な事情は多いけど……恋人さんはいないらしい。お兄さんのレイザーさんはちゃんと婚約者さんが待っててくれているらしいです。
なので、僕が転生者の事情知ってて……カップルでいるのは、市民側だとジェフさんしかいない!!
ジェフさんは、根底からシェリーだけを思っていたので比較対象は少ない。けど、その分『一途』なので! 僕のエリーへの想いと似てる気がするんだ!!
「と言っても、俺の地元とかも似たり寄ったりだったぜ? よほど別れなきゃ、成人してそのままとか」
「じゃ、シェリーを待たせたのは?」
「……言うな。ほとんど宣言したが、嫁さんにしたら手出ししねぇ保障出来るか? 腹に子どもいるのに旅とか……そーなると、地元に戻るか拠点に腰据えるかになるが」
「……すみません。めちゃくちゃ悩んでいたんですね」
「せめて、トラディスが主リーダーになれるくらいまではもあるが。まだ付き合いたてだし、今楽しみたいんだ。ケントはどーなんだ?」
「……恋自体が初めてなんで。エリー以外考えられません」
「まあ、そうだろうな。いっそ、エリーに今後の道筋聞けばいんじゃね?」
「……ですよねぇ」
平均とか色々あっても、結局はそこ。エディもきっと、そこに行き着くことがわかってたかも。さすがは、僕のマブダチ……。




