第620話 リメイクも売れ行き抜群、でも?
二種類のリメイクを作ったけど。変わった食感ということで、二層仕立ての方を商品化したら、女性だけじゃなく男性にも大人気。
特に特に。
「骨を粉々にせぇへん、食べ方とやらは気になるわ!」
マーベラスさんが大量に購入するので、少し割引き料金にするくらい。もちろん、シャケの骨に必要な圧力鍋の制作依頼もしました。
「すじ肉がほろほろになって、カレーパンも大活躍」
「そら、間違いない!! 完全に崩れんと、形は程よく残す感じか?」
「さすが、マーベラスさん! だいたい合ってます」
「んで、食べ易く……腕鳴るわ!」
やる気満々でとっとこ帰って行かれ、入れ替わりにロイズさんがやってきましたよー。
「リトとハムスがなんか頑張ってんだって?」
恋人でもあるルゥさんに聞いたのかもね? 奥の方で、リトくんは自分サイズに変身してくれてる、ハムスのオーブンでちょうどそれを焼いてたとこだった。
チンっ。
「出来た!」
『出来たよー』
さっき、マーベラスさんがリトくん用にとオーブンに使う方のミトンを装着し……出てきたのは、サクサクのリメイククロワッサン!!
せっかくなので、程よく冷ます魔法をハムスにかけてもらって。ツヤ出し無しのリメイククロワッサンは、それでも生地に卵があるからサクサク感は損なわれていないみたい。
「ギ、ギルマス!! た、食べてください!!」
作業にも少し慣れたリトくんは、もう試作品をお皿に載せていた。専用のルーペも使わず、ロイズさんは苦笑いしながら受け取って……パクッとひと口。
シュンって、ポーションパンの効能は出たけど。何回か試作した時に見たら、『疲労回復』『筋肉痛軽減』とか出てたんでそれが発揮したかも?
咀嚼して飲み込んでから、ロイズさんは空いてる手でわしゃわしゃとリトくんのかぶってる帽子を撫でてやった。
「うんめぇぞ? 生地が美味いのはもちろんだが、間の魚の味付けがいい。師匠の教えをよく守ってんな? もうここまで出来んのかよ」
「あ、ありがとございます!」
「おい、ケント。また任せられるものが増えそうだな?」
「ふふ。けど、自分なりにまだ満足してないんですよね?」
「ほう?」
「……ししょーみたいに、形がきれくないです」
子どもが、って甘え出さないところがリトくんのいいとこだ。実際、下手に商品化して……成長したら、そこが通じなくなるのは嫌だもんね?
アレンジは、一定の技術が身につけたとこからが大事だって……僕の専門学校の先生も言ってたなあ。
とりあえず、これは冷め切ったらリトくんの袋詰め練習も兼ねて、三つ入りを少しお安めに販売しております。
練習をまかないで食べるのにも限度があるし、一応ポーションパンだからね? それが、甘い方より売れ行き多いのは冒険者さんがお客さんのほとんどなものでぇ。




