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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第611話 ダブルデートのため!!なのになのに

 リリアと久しくデート出来てない!


 将来の王妃に相応しい女性だとは俺ももう、可愛いとこ抜きにめちゃくちゃ受け入れていた。ギルとこそっと観に行った妃教育の一連も見事なものだった。


 他国の留学が長かったとは言え、自国の教育レベルが低いわけじゃない。昔のやんちゃはどこへ……っつーのは俺も言えたことじゃねぇけど。



「ダブルデートかぁ」



 俺のマブダチになった、異世界からの転生者。ケント=スワも……実は恋人とデートがほとんど出来ないでいた。だから、お互いの彼女の親交も深めるついで……は建前だけど。


 エリーとリリアには仲良くなって欲しい。


 俺とケントが将来的にもマブダチもとい、親友のように付き合っていくのはほぼ確定。なら、嫁になる側にも同じようでいて欲しいのは俺のわがままだ。


 ケントも賛成ぽいし、それならと俺にとっては友好国の友人にもなるトラディスと堪能したと言う……チーズとパンの野営っぽい料理にしようと提案してくれたが。


 トラディスは俺ともダチになってくれたのに!! とは言え終わったのは仕方がない。ケントに言われた通り、緩くのんびりの野営地でのダブルデートを開催しなくては!


 ケントのとこから城に戻るが、こそっと厨房に。俺の変装をわかってる、若手の料理人のとこに行く必要があるんだよな?



「よっ」


「……エディ。このクソ忙しい時に来んのかよ?」



 鮮やかな青の髪だが、適当に散髪したって感じ。だが、屈強な男前で実は女には人気が高い。つか、俺がガキんちょの王子だった頃からの……まあ、幼馴染み。今では城の副料理長だ。



「いーじゃん、レイク? 俺らの仲だろ?」


「そうは言うが? このタイミングで来るってこたぁ……なんか欲しい食材でもあんのか」


「さっすが! いくつかチーズの塊見繕ってくれ」


「塊? わざわざ……出かけんのか?」


「そ! ちょいピクニックがてらで、ダチが欲しがってたからよ」



 名前こそ出さないが、ケントのことを匂わせれば。気が変わったのか真剣な表情に切り替わり……俺の方にひょいひょいといくつかチーズを投げてきた。親父から譲り受けてた特別製の魔法鞄をスタンバイしてたもんで、どんどん入れていく。結構多いが、この気前の良さからすると?



「パンの在り方とか、お前の恩人でもある坊主だろ? そりゃ、相応のは必要だな」


「直接会ったりした?」


「エディがわざわざ行くってあたりでな。勲章式の時も食ったが、一度でもいいから指導受けてぇ。パンの美味さだけでも国宝級だ」


「だろ?」



 やっぱ、ケントの腕前は世界一と言ってもいいなあ? ひと口で、堅物とかの心も蕩けさせるとは。本人は基本的にのんびりさんだが……心の在り方は真剣そのもの。


 リリアにも普段のケントを知って欲しいし、エリーとも気兼ねない付き合いになって欲しい。


 とりあえず、レイクにはケントと会わせる約束をつけ、俺は俺でデートの決行日まで仕事をある程度終わらせることにした。


 ただ。


 リリアにはサプライズで前日に伝えたんだが……。



「気軽にはわかりますが。わたくしの準備もあります。もう少し、暗器の支度も……」


「すまん。そこまで手配がいるのはわかるが、ケントは未知数でも……エリーや俺たちがいるじゃねぇか?」


「それでもですわ! 護衛ですもの!」


「頼む。メインはデートだから……!」


「そ、それはそうですが……」



 俺も甘かった……武闘派女性はリリアもかなりこだわりがあったのを!! ケントもだけど、俺も頭抱えるわぁ!! 下手に甘い言葉囁くだけじゃ意味ねぇわ!?

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