第604話 神様と神獣
お待たせ致しましたー
考えていなかった。
『……リトに獣魔。さらに、カウルのように魔導具への変身能力を必要かとするかどうかか』
ケントよ、すまぬ。
当分先のことだと、我はさっぱり考えていなかった!!
これはいかんと、シロトに言ったのだが。いつも以上に足蹴にされてしまった!?
『何故、用意しないのです』
『……すまん』
『獣魔としての存在を必要とするほどの逸材。……異能を与えられた時点で考えてもよかったのでは?』
『返す言葉もない』
と言うことで、今から考えよう! ケントが来る前に!!
『魔物よりも精獣にしませんか?』
『……そうだな。ポーションパンを広める意味も込め、呼び出そう』
空間を繋げ、意識体を引き寄せる。
カウルの時も実はこうしたので、アナウンスを通じて組み込めたのだ。
『はいはい! 神様!!』
やたら明るい感じの精獣を呼んだはずだが……出てきたのは、小柄な猫とネズミを合わせたような存在。それは神獣のハムスだった?! 何故此奴が応じるのだ!?
精霊の里の守護獣でもあるのに!!
『馬鹿か!?』
『何故あなたが!?』
思わず、シロトと押さえ込んだ。だが、陣は一方通行なので、押し込んだところで帰せないために理由を聞くことにはしたが。
『だって、獣魔以上に異能の補助としての存在をお求めだったんでしょう? ジェイド様から聞いていましたよー? ラティスト様のところに不思議なスライムがいるの』
ジェイドがポーションパンを時々持ち帰るから、又聞きしていたらしい……。あのおしゃべり大精霊め!?
『……で、行きたいのか?』
『将来有望のヒトの子だと知ったら! 里の守護は、もともと後継を育てていたので大丈夫ですー!』
『……わかった。まずは、ケントと引き合わせる』
『はーい!』
問題は明る過ぎる性格だが……多分、大丈夫だろう。
ケントは余程のことがない限り、差別化しない人間であるからな。
そこでタイミングよく、ケントがラティストの意識体を通じて狭間にやってきた。ハムスを引き合わせると、ラティストの顔だがめちゃくちゃ顔を輝かせてくれた。
『何この可愛いの! 猫とハムスター足して割った感じ!!』
『ハムスですよー!』
『え? 名前?』
『個体名みたいなものです!』
『覚えやすいし、リトくんも喜ぶと思う!』
『……本人の希望もある。連れてってくれないか?』
『カウルのように出来るんですか?』
『リトが受け入れたら、その組み込みは始めよう』
『じゃ、ハムス。行こう!』
『わーい!』
遊戯ではないが……存外和むな、この光景。
とりあえず、無事にことが運びそうでよかった……。
次回はまた明日〜




