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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第54話 気をつけなくては

お待たせ致しましたー

 とりあえず……無事に依頼(?)とかは完了出来たけども。


 レイザーさんが、報酬は後になるけど……食堂で宴会させてほしいと言う提案を僕は断った。


 だって、夕飯途中とは言えラティストやカウルはお家で我慢してくれているから。カウルはともかく……大精霊でも、僕のご飯が大好きになってくれたラティストをこれ以上我慢させるのは酷だ。


 なので、今日はお断りさせていただき……エリーちゃんとゆっくり帰ることにした。



「律儀ねぇ? ラティストって、そんな大喰らいなの?」


「うん。あのライスバーガー三つはペロリじゃないかな?」


「ふーん。出会った時も、オープンサンドをめちゃくちゃ頬張っていたし……元からそうかもね?」


「かなあ?」



 今では、大事な僕の家族だ。もちろんカウルもだけど……二人がいなきゃ、こうして誰かの役に立つパン作りをすることが出来なかった。特に、カウルがいなきゃパンに必要な『発酵』がうまく出来そうな気がしないんだもの。



「……けど。呪いの解除まで出来るって、ロイズさんやギルマスが知ったら……その場でひっくり返るわね?」


「ロイズさんはともかく……ルゥさんが?」



 あんまり想像出来ないなあ?


 開店してから、一度だけ来てくれたけど……あの格好だから、他の男性客からの注目が凄かった。女の人達もだけど……。



「そうね。ギルマスは言い過ぎだけど……でも、それだけ凄いことなのよ? 君は色んな人に好かれやすいから、誘拐されてもおかしくないわ」


「……ははは」



 エリーちゃんとの観光途中で、ギルアさんに取り囲まれたのは……少々苦い思い出だ。ギルアさん達がいい人達だから、無事に解決したけど。


 ギルアさんは、お店がオープンしてからポーションパンのお得意様の一人となっている。傷の方も、少しずつ消えているのが目に見えてわかるくらいだ。


 過去にそんなことがあったので、エリーちゃんとラティストとかが一緒じゃなきゃ……リオーネに街を歩き回ることは出来ない。


 いつ、お昼くらいに来たぶちゃいくな貴族のおじさんのような人が……僕らのお店に押しかけてくるかわかんないもんね?


 帰路では特に何もなく……ただ、ラティストのお腹が限界だったのか。調理台の上で突っ伏しながら待っていてくれたようだ。



「た、ただいま……」


「おかえりでやんす! ケン兄さん!! ラティスト兄さんが限界でやんすよ!?」


「う、うん。じゃ、手洗って食べようか?」


「本当か!?」



 基本的に無表情で、お客さんにもあんまり笑顔を向けないラティストの……貴重な笑顔を見て、目が眩みそうになったのは内緒だ。



「エリーちゃんも食べよ?」


「ええ。ありがとう」



 オープンキッチンのトースターで軽く温め、皆で食べたライスバーガーはたしかに美味しかった。


 我ながら、自画自賛してもいい出来栄え。


 レイザーさんにも喜んでいただけた、納得の味わいに仕上がっていたよ。


 小さめとは言え、三つなのは食べ盛りの僕らではまだ足りなかったので。


 パンは大変だから、ポテサラサンド用に仕入れていた……ジャガイモを使って、即席ポテチを作ったら皆に大好評だった!!

次回はまた明日〜

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