第39話 残っていたポーションパンだが
お待たせ致しましたー
と言っても、だいぶ売れてしまったので……あんまり種類はないんだよね?
【『秋のフルーツたっぷりサンドイッチ』
・秋の味覚!をたっぷり使った、あんまいホイップクリームにこってりカスタードクリームを合わせたフルーツのサンドイッチ
・体の精神的不調を中回復
・裂傷までなら、大回復
】
【『チーズたっぷり、ロールパン』
・ゴーダとチェダーたっぷりのロールパン。そのままでもサンドイッチに加工するのも良し
・切り傷、すり傷を綺麗に完治させる
・加工の場合は上記の傷どころか、骨折まで大回復
】
【『癖になるツナマヨサンドイッチ』
・辛味の少ない玉ねぎのみじん切りときゅうりのみじん切りに加え、マヨネーズたっぷりのツナマヨ。ファンになれば、病みつき間違い無し
・毒回復大
・麻痺毒完全回復
】
とまあ、売り切れ寸前だったのもあり……これだけしか残っていないんだよね?
だけど、
「「うっまそ!?」」
「凄い……僕、こんな凄いの作れないや」
『ほ〜? やるなあ??』
と、トラディスさんだけでなく、『シリウスの風』の面々には喜んでいただけたようだ。
「……え、安い?」
そして、いち早く……トラディスさんが値札のところを見て気づいてくれたようだ。
オークションは仕方ないけど……店頭販売のここでは、表示価格がとっても安い。高価な回復薬のイメージが根強いこの世界だけど、同じ食べ物でも消費期限があるパンの値段として……ロイズさんと話し合って決めたんです。
「亜空間収納とかの魔法や魔法の鞄はありますけど……基本的に、パンもですが食べ物は表面とかが乾いてくるのはわかりますか?」
「え、はい」
「それが一日二日で過ぎてしまうと……食べ物として成立しない場合が多いんですよ。普通のポーションは飲み物ですが、僕や相棒が作るのはポーションのパン。だからこそ、一番美味しい状態で召し上がって効力を発揮してほしいんです。なので、値段はこれくらいにしてるんですよ」
「……ケントって言ったか? それは効力にも関係すんのか?」
ジェフさんに聞かれると、僕は強く頷いた。
「はい。エリーちゃんにもですが、ほかの冒険者さん達にも何名かためしていただいた結果です」
それもあり……日本でもちょっとリッチな感じくらいの……適切な値段で販売することにしたのもあるんです。
「なるほどなあ? 冒険者とかじゃなくても、収納の魔法は普及されてる。そこに入れとかなきゃ……いくらポーションがパンでも効果はねぇ、か。面白いな?」
「……味も一級品だ。食べるだけでも価値はある」
「お? 大精霊が認めるくらいか?」
「「え!?」」
トラディスさんと思わずハモってしまったが、レイザーさんはニヤニヤしているだけだった。
「俺の魔眼で視ただけだ。言いふらしたりしねぇよ」
「お兄さん……こっちの綺麗な人が、大精霊なの?」
「ああ。しかも……創始ときたか?」
「……今はケントの配下だ」
「人間を気にいるとはなあ? なら、下手に用心棒雇うよりよっぽどいいな?」
「先程のような輩は、徹底して追い払う」
「おう。そうしてくれ。……んで、トラディス? どれ買うんだ?」
見透かしても、実にあっさりと話題を変えちゃった……熟練の冒険者さんだからかな? それか、トラディスさんのお兄さんだから?
「あ。ご迷惑じゃなきゃ……全部買いたいん、だけど」
「けど?」
「……ケントさんに、ひとつ依頼したくて」
「僕に?」
なんだろうと首を傾げると……トラディスさんが思いっきり腰を折った!?
「お兄さんの魔眼の呪いを解呪出来るパンを作っていただきたいんです!!」
「え」
とんでもない依頼が来ちゃった!?
次回は17時過ぎ〜




