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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第29話 いきなりお客様②

お待たせ致しましたー



「お……前、は!?」



 僕らがびっくりしていると、ラティストが男の子を知っているのか声を上げたんだ。



「ふふ。やあ、ラティスト」



 ふわふわ金髪に、綺麗なエメラルドグリーンの瞳。


 ぼろぼろだった服装から、360℃一変して美少年に大変身した男の子は、どうやらラティストとはお知り合いみたい?



「やあ、じゃない!! いきなりなんだ? ケントを試すような事をして!!」


「そりゃそうだよ? 君が一向に精霊界に戻らないから探しに来たのに」


「え? ってことは……」



 この男の子も……精霊? もしくは大精霊?


 ラティストとはお友達かお仲間なのかな?



「うん。試してごめんね、人の子。僕は、ジェイド=イシュト=ガージェン。ラティストの弟だよ」


『「そ、創始の大精霊!!?」』


「え? ラティストだけじゃないの??」


「あれ? 僕の名前聞いても全然驚かないね? 面白ーい」



 この世界には転生したばかりだから……歴史とか知らないのはしようがない。けど……ラティストの弟さん、って大精霊さんに言っていいか悩むと、ラティストが僕の肩に手を置いてきた。



「残念だが……俺は精霊界には戻らん。このケントの契約精霊になった」


「え゛!?」



 きっぱり言い切ったラティストに、ジェイド……さんは可愛らしい顔を思いっきり鳩が豆鉄砲を食ったようにぽかんとさせてしまった。



「嘘偽りない。俺の恩人でもあるし、俺が望んだことだ」


「ちょ、ちょ、ラティスト……兄さん? 兄さんがわざわざ人の子と!?」


「ケントがいなければ……消滅していたかもしれん。なら、恩を返すにはそれくらいしか出来なかったからな」


「え、えぇ〜〜??」



 ジェイドさんは、僕とラティストを何度も交互に見てきたけど……しばらくしたら、『はぁ〜……』と大きくため息を吐いた。



「……ジェイド、さん?」


「……たしかに。契約の証は存在してる。……けど、精霊界にはどう言うの!? 僕ら以外の創始の大精霊が黙ってないよ!!?」


「……頼んだ」


「雑に言わないで!!?」


「あ、あの〜……」



 ここはもう、きちんと僕のことも言おうと決めることにした。



「……なに?」


「僕はこの世界の人間じゃなかったんです」


「へ?」


「あの阿呆神の不手際で……命を失ったが、こちらに転生させられた人間だ。しかし……この世界をある意味救う存在として遣わされたと言ってもいい」


「あのスカポンたんが? 何を?」


「ラティストを助ける時にも使ったんですが……僕、パン作りが得意なんですけど。そのパンが回復薬……ポーションになるんです。今準備してて、そのパンをこの建物から広めようと」


「効果は絶大だ。だからこそ、俺はケントを守護すると決めた」



 交互に説明すると……ジェイドさんは綺麗なエメラルドグリーンの瞳をぱちぱちさせ、すぐに僕の前に来たんだ。



「……あの美味しいのも?」


「あ、さっきのは途中で……」


「それが……ポーションに??」


「俺を取り込んだレイスを消滅させたくらいだ」


「! そっかあ!」



 ラティストがきっぱり言うと、ジェイドさんはそれはそれは綺麗な笑顔になった。



「ジェイドさん?」


「じゃ、しょうがないや。里にもきちんと報告するよ? 人の子にはあんまり介入しちゃいけないけど……あのスカポンたんがそうなら、兄さんが居た方がいい。むしろ、いなきゃダメだ」


「……わかってくれたか?」


「うん! 長……父さんにもそう報告しとくよ。あ、けど。時々遊びにきていい? お金もちゃんと払うから、売り出したら買わせて?」


「い、いいんですか?」


「精霊だからって、勝手に人の子の食べ物横取りしないよぉ。それに美味しかったし……あ、兄さんの主だから、僕も呼び捨てとかでいいよー?」



 とだけ言って、ジェイド……は、空気に溶け込むように消えてしまった。



「……ケント、よく堂々と出来たわね?」


「痺れるでやんすぅ!」



 ジェイドがいなくなってから、ようやく発言出来たエリーちゃん達は体をプルプルさせていた。


 とりあえず、その後に出来たハンバーグサンドイッチのお陰で気力とかは回復出来たのだった。


次回はまた明日〜

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