第279話 レア度満載
お待たせ致しましたー
やっぱり……しゃべるスライムって、この世界でも珍しいんだ。
かなり高ランクの職業持ちのマーベラスさんが驚くくらいだから。
簡単に説明はしたけど……マーベラスさんはカウルを凝視ってくらいジーって見つめていた。カウルのステータスは……見れちゃうのかな?
と思ってたら、思いっきりため息を吐いた。
「……あかん。ちっとも見れん」
「そうでやんすか?」
「せや。インクがにじんだような文字しか見えへんわ」
となると、あのイケメン神様が……カウルにアナウンスをしてくれてたから、そのおかげで見えないように補正がかけられているとか? 僕には普通に見えたりしてるけど……そこは、カウルを獣魔としてテイムしている関係もあるかもしれない。
「カウルは特殊なスライムですからな。何かしら、補正があるのでしょう」
お師匠さんも、とりあえず僕と同じような考え方で説明してくれた。マーベラスさんがいるから……下手に異世界用語出せないもんね?
「……ほーん? しゃべれるだけでなく、変わったスキル。『はっこう』ってなんなん?」
「簡単に言いますと……食材を熟成させる働きを持つスキルです」
だいぶざっくりした説明だけど……パン作りしたことない人にはわかんないだろうからね?
だから、マーベラスさんも分野外の知識だったから……顔をぽかーんとさせちゃったけど。
「じゅくせい?」
「パンの生地は、こねただけではすぐに焼けないんです。適度に膨らませて……焼ける準備を整えてくれるのが、カウルの持つ『発酵』の役割です」
「……このスライム……カウルがそれを?」
「はい。大変役に立っています」
あとでバレるともっと大変なので、それくらいは秘密を言うしかない。どうやって作るかは見せていないからね!
「……ってことは。ポーションパンの要は、カウルが必須なん!?」
「……だと」
「あっしはお手伝いだけでやんす」
理解が追いつくと、マーベラスさんはカウルを触りたくなっていたけど。
カウルがエリーちゃんから離れて、すぐに僕のとこに来たので……僕がぎゅっと抱っこしてあげた。それを見て……マーベラスさんは、『すまん』と謝罪してくださった。
「悪い。物珍しいもんには、目がなくて」
「……それで、僕にも会いたいと?」
「それもやけど、この引きこもりが弟子取ったって噂が凄いんやで!?」
「……たまたまですな」
師弟関係についての提案者は、ロイズさんだったけど。
お師匠さんは、食欲レーダーだから……最初は視察ついでに僕らのお店に来たんだよね?
あの頃は、今と違ってイケメンさんでもなかったからなあ……。
「……とりあえず。おまんら、揃ってレア度ぶん殴りやないか!? 創始の大精霊おっから……簡単には誘拐とかないやろうけど」
「誰が」
「させないもんね〜?」
万引き未遂はともかく。
今のところ、窃盗とかの怖い事件がないのは……この二人のお陰だと思う。
もちろん、お店の警護をしてくれている……冒険者の皆さんもね!
「あたしだって、大事な恋人を誘拐なんてさせないわ!!」
腕っぷしは僕よりすっごくあるからだけど。
エリーちゃん、かっこいいよ!!
次回はまた明日〜




