第267話 友達からのお礼
お待たせ致しましたー
えーっと。
どうやら……また凄いこと、しちゃったみたいです。
「あんがとな、ケント」
リオーネに帰ってきた翌日なんだけど。
お昼休みくらいに……『シリウスの風』全員がやって来られたのだ。
で、レイザーさんにはお礼を言われた理由は。
彼の、左目にあるはずの『眼帯』がないことについてだ。
前は右目と色が違ってた左目が。
綺麗に……右目と同じ色になっていた。眼帯しててもかっこいいレイザーさんが、さらにカッコよくなっていたのです!?
これ……絶対、渡したあんぱんのどれかで治ったんだよね!?
鑑定すると……ステータスとか、魔眼のスキルとかは以前とほとんど変わらないけれど?
「……あんぱんで、目が治ったんですか?」
とりあえず、これは聞かなきゃ。
レイザーさんは首を縦に振った。
「おう。あんこがぎっしりつまったやつか? あれ食ったら、神からのアナウンスがあって……まあ、治った」
ちょっと歯切れが悪いけど……イケメン神様が何かしたのかな? ラティストに呆れられっぱなしだけど、ちゃんとしてるとこはしてるみたい。
「凄いですよ!! ケントさん、あのあんぱんすっごく美味しかったんですけど……あんこってどんな材料なんですか!?」
トラディスさんもだけど、シェリーさんも聞きたいのか顔を輝かせていた。
言いふらしたりはしないと思うけど……一応ラティストに目配せしてから、言うことにした。
「言いふらさないようにしてくださるならば」
「ん? 貴重な材料なのか?」
「はい、ジェフさん。…………精霊のご飯なんです」
「「「「……は?」」」」
「入手ルートは言えませんが、主食なんだそうです。精霊の」
もう一度言うと……皆さん面白いくらいに、お口あんぐりになっちゃった。
まあ……こうなるよねぇ? と思っていたら。
ジェフさんに肩を掴まれたのです。
「そ、そんな貴重な材料で……パン作ったのか!? 国王はまだしも……俺らなんかにほいほい寄越してくれたのか!?」
「……レイザーさんとトラディスさんのことは、エディから聞いてますよ?」
「それにしてもだ!? 一介の冒険者に気前良過ぎだろ!?」
「皆さんだからですよ?」
エリーちゃんとお師匠さんとかには既に食べてもらっているし。
ギフラさんとかには、まだ試食してもらうかはちょっと悩んだけど。
『シリウスの風』の皆さんも、また違った意味で特別。
お友達だからね?
にっこり笑顔で答えると……ジェフさんはため息こそ吐いたが、すぐに苦笑いとなった。
「けど、主食って……穀物ですよね? 麦って感じじゃないですし」
「シェリーさん、豆なんだよ」
「ま、豆を甘く?」
「そうそう」
小豆の利用方法が、こっちの普通じゃないないから……皆さん驚いていた。せっかくだから、甘納豆にしてもうちょっと変わったパンでも作ろうかと考えた。
次回はまた明日〜




