第234話 あんこ完成
お待たせ致しましたー
「『おお……っ』」
「出来た! あんこが!!」
パン生地の仕込みをしながら……あんこの炊き上げもしたんだけど。
まずは適量……大鍋いっぱいずつ。
こし餡と粒餡を作ってみたんだよね?
カウルはドウコン状態。ラティストは鍋を大きなヘラでかき混ぜながら……初めて見る『あんこ』に声を上げたんだ。
「これが……」
『……あんこ?』
「凄い色でしょ?」
あんことかを知らない人が見たら……なんじゃこりゃ? って見た目だけど。
僕は、元日本人だから知っている!!
精霊の里特産の小豆をたっぷり使い、砂糖も惜しみなく使った……艶々のあんこ!!
絶対美味しいに違いないって!!
「……ケント。これをパンに入れるのか?」
「ある程度冷めてからだけどね? そのまま包んだら生地がダメになっちゃうから」
「……カレーパンと同じか?」
「そうそう。クリームパンとも一緒」
フィリングは基本……熱々じゃなくて、常温以下で包んだ方がいい。
フィリングが冷たくても……生地に包んで、ドウコンで二次発酵させるし、焼く時にさらに火が通るからね?
だから、出来立ては熱々なんだ!
「……なら。俺が冷却させればいいか?」
「うん、お願い」
最初の頃は、他のフィリングをカチカチに凍らせてしまっていたけど。パン屋を営業してからだいぶ経験を積んだから、今では大丈夫。
生活魔法を使って、ちょうどいい具合に温度を調節出来るようになったんだ。だから、僕よりラティストの方が調整は上手いので任せている。
「……これくらいか」
無詠唱で出来ちゃうから、大精霊は凄いね? 一瞬で終わっちゃうしね?
湯気も消えて……さらに艶々が増したあんこを、僕がそれぞれ味見すれば。
「これこれ!! この味と食感!!」
家庭の味わいだけど、十分!
美味しいあんこ二種が無事に完成となったわけです!!
カウルから生地を取り出し、元に戻ってもらってからラティストと一緒に味見してもらえば。
「あんま!? んん? 芋……のようにほっくりしてるでやんす」
「……昨夜のもだが、粥とも違う。俺は好みだ」
「お芋みたいなのは、豆を柔らかくしたからだよ。お粥は塩味が多いからね? 全然違うでしょ?」
「パンで食べてみたいでやんす!」
「……俺もだ」
「んー。じゃあ、せっかくの出来立てを」
収納魔法から、保存していた食パンを取り出して。
僕の出身地じゃないけど……あのトーストであんこを味わおうかなあ?
厚めに切って、バター乗せて。
トースターはオープンキッチンにあるから……バターが適度に溶けるくらいに焼いて。出したら、粒餡たっぷり塗って……アイスを落とせば!!
【『アイス乗せ小倉トースト』
・複雑骨折まで完治
・精神力大回復
・疲労感解消
以上となります
】
だよね!?
わかってた!!
こう言う加工でもポーションパンになるのって!!
次回はまた明日〜




