第227話 恋の新しい悩み
お待たせ致しましたー
エリーちゃんとお付き合いを始めました。
と言っても、具体的な事は何も変わらないんだよね?
「ケン兄さん、ご機嫌さんでやんすねぇ?」
いつも通りの日常に戻っているつもりが、周りにはそう見えないようだ。
「……そう?」
たしかに、風邪も治って……体力的にも精神的にも元気ではいるけど。
僕が聞くと、カウルは体を震わせた。
「でやんす。エリーはんとお付き合い始めてから、ずっといい笑顔でやんすよ」
「……そうだな」
ラティストにまで見抜かれているとは……僕は、そんなにも顔に出ているのか? 隠す必要がないとは言え……お付き合いすることをそんなにも。
今手が粉まみれなので、ほっぺとかが触れないけど……きっと赤いんだろうなあ?
「良い事でやんすよ。ケン兄さんは自分を疎かにするとこがあるでやんすから」
「身近に愛しい存在が出来れば、心の有り様も変わるだろうしな?」
「でやんす!」
改めて言われると……非常に恥ずかしい。
僕……まだ手繋いだ程度なのに。
キスとかはまだなのに!
ハグは……ちょっとしたけど。
恋愛初心者なんだから、煽んないで!?
「……うう。嬉しいけどさあ」
「「けど?」」
「次の……デートとか。まだ決めてないし」
エリーちゃんも、冒険者のお仕事に無事復帰出来たから……あれから、ポーションパンを購入してくれる以外会っていない。
ランクの高い冒険者さんは、とーっても忙しいらしい。
お互い一週間くらい風邪で寝込んでいたから、復帰後の仕事は忙しくて仕方がない。僕も、パンをたくさん作っているよ?
けどけど!!
お付き合いし始めてから……まだデート出来てないんだよ!?
「ケーント! 手伝いに来たよ!」
うだうだしてたら、裏口からスーッとジェイドがすり抜けて入ってきた!? 慣れてはきたけど……こう言う登場の仕方は心臓に悪い!?
「……やあ、ジェイド」
「あれ? 顔赤い? また風邪?」
「違う違う……色々自分が情け無いだけ」
「ふーん? あ、エリザベス?」
「……そう」
この大精霊も僕とエリーちゃんがお付き合いしているのは、当然知っているのですぐにピンとくるのも仕方がない。
「へーんなの。会いに行けばいいじゃん?」
「……今日はここ営業日なんだけど?」
「あ、そっか。ヴィンクスも、あとで来るって。今日はパン食べないと死ぬとか言ってるけど」
「りょーかい。お師匠さん用のフィッシュバーガーとっておかないと」
今は午後の仕込み最中だし、身内の少ない取り置きくらいなら大丈夫。
お客さん全員に対応してたら大変ですまないけどね?
「ケーント!!」
あと少しで、営業再開しようとしたら……今度はエディが来たのです。
次回はまた明日〜




