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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第219話 変えてくれた人

お待たせ致しましたー

 嬉しい、楽しい。


 これまで……『恋』だなんて、したことがないから。


 誰か……女友達も今はほとんど昔のは疎遠になったけど。シェリー以外で、しかも『男』といてこんなにも楽しい時間が過ごせるだなんて思わなくて。


 それが……好きな相手だからって言うこともあるかもしれないけど。ケントと一緒だと飽きない。


 風邪とかで、うじうじしていた時間が勿体なかったわ。もっと……早く行動に移せば良かった。



「はい、エリーちゃん。紅茶のお代わり」


「ありがとう」



 今あたしは、ケントとポーションパンを食べた後……のんびりとお茶を飲んだりして、景色を一緒に見ていた。


 カウルと、最初にあの魔導具満載の……厨房のようなものを使って、最初のポーションパンを作った場所。


 澄んだ水が豊富な湖。


 水を求めるのは、人間だけじゃなく……魔物や精獣らもいるわ。少し離れたとこで、彼らが思い思いに水を飲んだりしていた。


 あたしとケントは……お腹いっぱいだったこともあり、あんまり会話がなかったけど……嫌な時間じゃない。


 のんびりと、穏やかで……嫌いな時間じゃないのよね?


 側にいるだけで安心出来ると言うか。



「……気持ちいい風だね」



 紅茶を何口か飲んだケントが、あたしにそう声をかけてきた。


 思ったことを言っただけだろうが……そんな些細な問いかけでも、あたしの心はときめいてしまうわ。



「……そうね。こんなのんびりした時間、いつ以来かしら」



 ケントと出会う前は、冒険者として名を上げることに夢中過ぎて。


 パーティーじゃなく、女だからってソロで活動することが絶対だと勝手に思ってて。


 無茶をしていたと思う。弁当忘れたあの時は……本当にがむしゃらに動いていたわ。思い出しても恥ずかしい。


 そんなあたしの行動を……一番に変えてくれたのが、ケントだわ。


 惜しみなく、優しさを分け与えてくれる態度。


 料理の腕も一級品で。


 ポーションをパンにしてしまうだなんて、偉業を成し遂げた人物。


 そんな人に……あたしは、次第に惹かれて『恋』をした。


 お互いに風邪を引いて……しばらく会えなかったけど。


 あたしは自分で告白するって、シェリー達の相談で決めたとは言え。


 なかなか言えない。


 今回がそのチャンスなのに……ケントと一緒にいると、いつもの強気な態度になれないのだ。


 あたし……本気で、ケントに惚れているんだって。


 本気だからこそ……この友人関係が壊れるのが嫌だから。


 だから……振られた後が怖くて、言えないのだ。



「ねえ、エリーちゃん」



 どうしようか、ケントからもらった紅茶を飲みながら考えていると。ケントから声をかけてきたわ。



「なに?」


「エリーちゃん……そんなにも可愛いと、好きな人いたりする?」


「ぶっ!?」



 思わず、紅茶を吹きかけたけど!


 なんてこと聞くのよ、この人!?

次回はまた明日〜

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