第197話 友達と打ち上げ④
お待たせ致しましたー
褒められた。
それが何よりも嬉しく……と同じくらいに、まだ不安だった。
ケントは……あたしが『友達』だから、恰好について褒めてくれたんじゃないかなって。
臆病になるのも無理はない。
だって……普段、こんな女の子っぽい恰好なんてしないもの!! シェリーなら似合うのわかるけど……なんで、あたしが!?
『ケントさんに、可愛く思われたいんでしょ?』
って言葉に乗せられ……着ることにはなったけど。最初は……逃げたわ。絶対呆れられると思って。でも……ケントはそうしなかった。
相変わらず、優しくしてくれて……あたしが渋々毛布から出ても嬉しそうに笑ってくれて。
(勘違い……しそうに、なるけど)
ケントは、いつものケントのままだ。
周りを気遣い、自分も一緒に楽しむのは……いつものケントのまま。
だから……勘違いするのも意味がないと思ってしまうくらい。トラディスの提案で……この宴会が終わったら、こ、こ、告白、するんだけど!
レイザーやジェフもいる前でだなんて、無理無理無理!!
シェリーでだって……場所はギルマスの執務室だったけど、二人きりだったんだもの。
大勢の前でだなんて……恥ずかしくて、死ねる!!
でも……その勢いがないと、あたしはいつまでもうじうじしてしまうのは、自分だって……よくわかっているわ。
(……それにしても)
ケントのポーションパンである、ツナマヨサンドイッチを食べながら……あたしは、改めてケントの顔を見てみた。
ちょっと日に焼けているが、そこそこ白い肌は触り心地が良さそうで。
茶色の目は大きく、意外にもまつ毛が長い。
鼻の形は、高くはないが悪くもない感じ。
手入れしているのか、唇は綺麗なピンク色。
それらが揃った顔立ち……カッコいいよりは、可愛い寄りだけど……手足が意外にもがっしりしているので、ちゃんと『男』だ。
あたしが空腹でヘロヘロになっていた時に……あんな場所で堂々とパン作りしてたとは言え。
この人は……あたしの命の恩人に変わりない。
そこから……好きに発展するとは自分でも思わなかったけど。
(……でも……好き、なんだなあ)
外見もだけど……のほほんとしているようで、結構しっかりした性格で、創始の大精霊であるラティストの手綱を握れるくらいだもん。
今だって、ひょいぱくって感じにラティストが色々食べてたら、しっかり注意するのよね? 異世界からの転生者だから……出来るのかしら? そう言えば……師匠になってるヴィンクスさんも、ラティストの弟であるジェイドと永久契約したのよね?
転生者って……何か必要以上の力を付与されるもの?
既に、ケントが……ポーションを食べ物にする時点で凄いけど。
(…………とりあえず、あたし、言えるかしら?)
料理は徐々に減りつつある。
酒も同じく。
だったら……もうここは、酒の勢いを借りるしかないわ!!
あたしは、レイザーの前にあった、普段なら絶対飲まない強めの酒を煽ったのだ。
次回はまた明日〜




