第19話 スタートするためにも
お待たせ致しましたー
カウルがいきなり、自分は要らない存在かと涙声で言われた時は……めちゃくちゃ驚いたけど、すぐに否定したよ?
だって、ポーションパンの製造もだけど。
カウルがいなきゃ、意味がない。
踏んづけても、僕が異世界に転生して最初に出会った相手だし。
兄さんって慕ってくれる相手を……放っておけない。
転生はしても、家族のいない僕には……家族だと思いかけていたんだ。
たしかに……ラティストって大精霊と契約を結んだけど。それだからって、要らないって理由にはならないもん。
とまあ、話し合って、カウルの不安も無事解決して。
今僕達がすべきことは!!
「ひろ〜い!!」
ラティストを取り込んでた、レイスが居着いていたパン屋さんだったけど。
保存状態は思ったよりは悪くなく……設備は、日本の業社関係から見ると、だいぶ古いけど。
文字通り、ファンタジーな感じのアットホームな家具や設備がそのまんま!!
「亡くなった先代は、それなりに人気のパン屋を経営してた。子供とか、弟子が特にいなくてな? 技術を継ぐ人間もいなかったのと、いきなりおっ死んだんで……誰も跡を継がなかった」
「……他の職人さんとかは?」
失礼だけど……パンの製造は基本の技術があれば、特にこう言う世界だと簡単に店を持てるのでは?と。
すると、ロイズさんはため息してから頭を掻いた。
「あ〜……いたにはいた。けど……その時期に、ラティスト取り込んでたレイスがここに居着いたせいでな? ビビリな連中ばっかだったし……レイスを退治しようにも、僧侶とかは長期遠征でしばらくいねぇ。と思ってた矢先に、お前が来た」
「なるほど〜」
で、無事に解決したのと……ある意味僕とかカウルの手柄なので、僕が引き継いでいいってことかな?
『……パン屋とはなんだ?』
「ひょ!?」
後ろからいきなりのイケメンボイス!?
けど、透明化してるラティストがいたのを思い出した……。
「簡単に言や、さっきお前が食ったパンとかを売り買いする場所だ。お前が絶賛するくらいだから……ケントのパンは一級品だろうな。おまけに、ポーションの役割をするなら……なおのこと売れる。そこについては、色々取り組みは決めねぇとな?」
「取り組み?」
「ケントのパンはポーションでしょう? 回復薬の流通が乏しいこの世界だから……悪どい貴族どころか、公国とかの馬鹿な公族にも狙われるかもしれないわ。だから、警備対策とかも徹底して……値の交渉もロイズさんが取り締まれば、安全は確保出来るわけ」
「そう言うこった。エリーにしてはまともな説明じゃねぇか?」
「毎回呂律が回らないわけじゃないわよー」
と言うことで。
お店の掃除や改装などについては、一度後回し。
先に、僕の身分証明証作成と、カウルの獣魔登録と言うのと……お店の管理登録などをすべく、生産ギルドに戻ることになりました。
『……ヒトが多いな』
ギルドの入り口に入ると、ラティストがゲンナリしたようなため息を吐いた。
ロイズさんが、ラティストを透明化……霊体化っていうのにお願いしたのは、ラティストのキラキラ度がアップした姿がイケメン過ぎるから。
で、うっかり創始の大精霊様とかがバレたら面倒過ぎる事態になるからだって。
僕としては、カウルと同じように家族のつもりで迎えいれたけど……従業員として一緒に生活するのは、どう提案として切り出そうか悩んだ。
次回はまた明日〜




