第18話 スライムの不安
お待たせ致しましたー
あっしは……あっしは……!!
とんでもない方と、契約していたでやんすぅ!!
はぐれスライムのあっしに名前を与えて下さっただけでなく……神のアナウンスを賜り、形状変化までして下さった。
そんなケン兄さんと……ずっとお側に居たいと、色々あって街まで来たんでやんすけど。まさか、街の問題解決の結果で……創始の大精霊様と契約されるとは思わなんだ!!
ケン兄さんに、相棒とは言ってもらえたでやんすけど!?
大精霊様が居る時点で……あっしは不要じゃ!?
思わず、プルプルと涙みたいなのが出てしまうでやんす!!
「カウル? ど、どうしたの??」
ケン兄さんが、創始の大精霊様でいらっしゃる『ラティスト=ルーア=ガージェン』様と……きちんと契約された後。
あっしは……あっしは、涙の液で前がよく見えんでやんすよぉ!?
ケン兄さんが慌てて抱きかかえてくださっても、止まらんでやんすぅ!!
「あっしは……あっしは」
「う、うん?」
「あっしは……要らないスライムでやんすか!?」
兄さんには、相棒と言ってもらえても。
創始の大精霊様と今契約された……今は!!?
ひょっとしたら、心変わりされたかと思ってしまったでやんすよぉ!!
「なんで? カウルは僕の大事な相棒だよ?」
「ほへ?」
決死の覚悟で聞いた言葉を。
ケン兄さんは……実に、あっさりと切り捨ててくれたでやんす。
「だって……君が居なきゃ、これから大変だよ?」
「それは……ポーションのパン作るのにでやんす……よね?」
「それもあるけど。君はもう、僕には家族だと思ってるんだもん」
「か……家族?」
「うん!」
実の家族スライムにも……そんな事言われたことがないでやんすのに!
兄さんはなんの躊躇いもなく、きっぱりと言って、あっしを強く抱きしめてくれたでやんす!!
「……そのスライムは、そこまで凄いのか?」
「うん!」
ガージェン様にも、ケン兄さんは強く頷いたでやんすよ!?
「名付けした時点で……まあ、ほぼテイム確定だしなあ? 獣魔登録はまだか?」
「生産ギルドでそれもお願いしようとしてたのよね?」
「さっさと言え、エリー。とりあえず……ラティスト……殿には」
「大精霊だが、今はケントの配下だ。敬称は不要だ」
「……わかった。とりあえず、霊体化してもらえねぇか? お前の外見は目立ち過ぎる。ケントのためを考えて、そこは頼む」
「…………了解した」
と、ガージェン様は空間に溶けるように見えなくなったでやんす。あっしはスライムなんで、少し経つとぼんやり見えやすが。
「……とりあえず、レイス問題は解決でいいんですよね?」
「……そうだな」
「ちょっと大ごとあったけど。解決ね?」
つまり、でやんす。
ロイズさんとエリー姉さんがあちこちのカーテンを開けてくれたことで、まぶしい昼の光がさ仕込んできたんでやんす!
「ここ……僕らのお店に??」
見えてきた、色んな道具にケン兄さんが子供のようにはしゃいでくれたでやんすから!!
「ああ。正式な手続きが済めば、ケントらの店になるぞ?」
あっしらの仕事場が決まったでやんすよー!!
次回はまた明日〜




