第177話 マブダチからのお使い
お待たせ致しましたー
年が明け、ポーションパン屋である『スバル』にも新しいスタートの幕開けとなったのだけれど。
お店を開こうと言う時間帯になった時に……初めてお会いするお客様が来たのだ。
「おはようございます。こちらが……ポーションパン屋の『スバル』でしょうか?」
豊かな銀色の口髭がかっこいい、ロマンスグレーのお爺さんだったんだ。呪いで老化していたロイズさんよりも歳上で、めちゃくちゃかっこいい!! 眼鏡もすごくよく似合うんだよね!
「はい。ここで合っています。購入ご希望ですか?」
「ええ、もちろん。それと……言伝を預かっております」
「伝言ですか?」
「はい。エディ様……とお伝えすれば、お分かりかと」
「エディですか?」
様……って言われるということは、エディはお貴族さんだったのかな?
けど……無理に隠してはいなかったし。別に怒らないけど、ディルック様の印象とも全然違うんだよね? むしろ……庶民派と言うか何というか。
は、今考えても仕方ないので。
おじいさんから、蜜蝋で封をされていたお手紙を受け取ったんだけど。
『よ、ケント! エディだ!!
今こっちがめちゃくちゃ忙しいんで、そっちには行けねぇんだが……この手紙渡した爺さんにポーションパンをたくさん買わせてくれねぇか?
俺の身内も食いたいって騒ぐ連中が多くてよ?
宴会めちゃくちゃ行きたかったけど……また遊ぼうぜ!!
エディ
』
と、簡単な内容だったけど……実にエディらしい文面だ。
相変わらず元気そうで良かったよ。
「お手紙の内容通りですが……今エディ様がこちらに来られないため、代理で私めが参りました」
「了解しました。また僕からも魔法蝶でお手紙出しますね?」
「是非。エディ様もお喜びになられるでしょう」
と言うことで……おじいさんを店内に案内すると、『おお』と声を上げられました。
まあ、他のパン屋よりも品揃えが多いのが自慢だもんね?
「僕のお店はこんな感じです」
「いやはや……エディ様が来られたいお気持ちもわかりますな? これらがすべてポーションと言うのも驚きですが、実に美味しそうです」
「ありがとうございます。購入の方法を教えますね?」
トングとトレーの使い方を教えたのですが……大量購入してくださるのか、魔法で浮かせてトレー三つに山盛り載せたんだよね!?
確認すると、おじいさんも亜空間収納の魔法は会得しているようで。
ラティストにも応援を呼んで、頑張って包装していったよ。
「では、代金をこちらで」
と、金貨一枚渡されたからびっくり!?
お師匠さん曰く……これで、日本円の三万円相当するって!?
たしかに……一万以上の購入はされたけど!!
このおじいさんを使いに寄越すエディって……普通のお貴族さんじゃない?
えらぶったお貴族さんじゃないのは知ってるけど……何者なんだろう?
マブダチでも、知らないことが多いんだよね?
次回はまた明日〜




