第159話 友達特権?
お待たせ致しましたー
「おはよう、エリーちゃん!」
今日も元気いっぱいのケントだったわ。
手には……何か紙箱を持っていたのだけれど。
紙箱は、しっかりしたものだから……少し高価なものじゃないかしら? あたしは、実家が商人の仕事をしているので……少しばかり、物の目利きが出来るのよね?
「おはよう……それなーに?」
「これね! 絶対エリーちゃんに食べてもらいたいって思ってたおやつ!」
「……おやつ?」
「ポーションパンじゃなくて、ミハイムさんとお師匠さんと一緒に考えたケーキなんだよ!!」
「ケーキ!」
このリオーネでは名が知れ渡っている……あの菓子職人のミハイム=レーガンの!?
たしか……前に、このパン屋の常連の一人だって聞いた覚えがあるわ。それと……ケントのいた世界での行事とかをパンに取り入れたいって話も。
その関係のお菓子かしら?
ミハイムのケーキって、下手すると王家御用達に近いと言われているのよね!!
「え!? 何か美味しいものですか!?」
シェリーも選び終わったのか、こっちに来ていたわ。
「うん! あ、シェリーさんも一緒に食べてください。ちょっと多めに入れておいたので」
「わ! いいんですか?」
「……お金は?」
「いいよいいよ! こっちはまだ試作段階だし、是非女の子達の意見が聞きたいから!」
「「じゃ、遠慮なく!」」
後ろから、他の客からの『羨ましい』が突き刺さってくるけど……あたしとシェリーはここの常連以上に、ケントと友達だもの? このくらいの特権は……いいよね?
とりあえず、パンの方はいつも通り購入してから……ケーキはせっかくだから、シェリーが『シリウスの風』全員で寝泊まりしている宿屋で食べることにしたわ。
「あ、早めに食べてね? すぐじゃないなら、亜空間収納に入れてね?」
「わかったわ」
と言うことは、パン以上に日持ちがしにくいケーキなのね?
中身を見たいところだが……店から出るまで、突き刺さる視線がウザいから今日はさっさと出ることにしたわ。出たら出たで、ギルアからは苦笑いされたけど。
「なんかもらったのか?」
「ええ。新作のケーキだそうよ?」
「お? 今日俺らにもくれるって言ってたな? 先に食えるのか?」
「ミハイムとかと協力して作ったそうね」
「……そりゃ、絶対うめぇな」
そうね、と頷いてから……シェリーと宿屋に向かい。
卓の上で箱を開けてみると……二種類のケーキが出てきたわ。
「可愛い!!」
「綺麗ね……」
白と黒茶系の……クリームに覆われたケーキ。
黒茶は、渦が巻いているような形で……あんまり食べたことはないけど、ロールケーキって言うのかしら?
味付けは何だろうか?
ケントのパンで、色々異世界の味を知ったとは言え……簡単には、想像が出来なかった。
「お茶入れたよー」
感動している間に、シェリーが紅茶を淹れてくれてたので。フォークは宿屋の女将から借りたのを持って、同じく借りたナイフで半分くらいに切り分けたのを食べることに。
「じゃ、白いの〜」
「んじゃ、茶色の方ー」
それぞれひと口頬張ると。
お互い、美味しさが口いっぱいに広がったためか……それ以上の言葉を口に出来なかった!
次回はまた明日〜




