第145話 クリスマスに向けて①
お待たせ致しましたー
今日も今日とて、新商品のパン作りはしていきますとも!
「……うーん」
ポーションのパン屋として……二ヶ月近くだが、売り上げは軌道に乗っている。
ロスになりかけた、パンの活用法も順調である。
とは言え、そろそろ冬だ。
この世界にクリスマスはないけど……せっかくだから、クリスマスぽいことはしていきたいんだよね?
「クリスマスって……そんな重要なことでやんすか?」
午後の仕込み前に、カウルにラティストも一緒に悩んでいるわけです。
けど、二人にはクリスマスがどんなものか知らないから……ちゃんと説明しようと思う。
「まず第一に。クリスマスは家族で祝うことが多いんだ」
「ふむふむ」
「祝い事か?」
「たくさんのご馳走を家族と一緒に囲んで……夜眠って翌朝になると、枕元とかにプレゼントがあるんだー」
「……それは家族が用意するのか?」
「だいたいはそうだね?」
異世界にサンタさんなんていないし……あれ、ほとんど空想上の人物だから。
僕も、親がサンタさんの代わりだって気づいたのは……小学生の高学年になるまでわかんなかったものだ。
「けど……こっちではその風習がないでやんすよ?」
「だから、代わりにポーションパンで季節感を出してみたいんだ」
「「なるほど」」
食材とかは日本と同じものがあっても……習慣とかは似たものもないしね?
けど、年明けには大宴会があるくらいどんちゃん騒ぎがあるのはエリーちゃんやエディに教わった。エリーちゃんからは、ロイズさんやお師匠さん達と騒ごうって提案があったので予定はきちんとしてある。
だけど、僕は僕で出来ることもしたいんだ。
「甘いのと惣菜パン系にするか……シュトレンは流石に仕込みが間に合わないし」
「シュ?」
「なんだそれは?」
「日本とは違う国でのパン菓子みたいなの? とにかく甘くて……カロリーの暴力みたいな塊のものだけど、ちょっとずつ切って食べてくものなんだよ」
作れなくはないけど……中身のナッツ類をお酒に漬け込むのにひと月は欲しい。
あと、マジパンを一から手作り出来るか僕の腕前じゃわかんないし。
けど……カウルとラティストは気になったのか顔を輝かせていたんだ。
「お……美味しいものでやんすか?」
「……手伝える箇所は手伝う」
「あ、うん。けど仕込みもだけど……材料が同じものがあるかわかんないし」
正直に言うと……二人ともわかりやすいくらい落ち込んじゃった……。
「む、無理でやんすか……」
「食べてみたかった……」
食いしん坊の二人の意欲を削いじゃったけど。
とりあえず、別のパンを試作しようと提案したら……飛び上がる勢いで機嫌を取り戻したのでした。
次回はまた明日〜




