第139話 ケントの特技②
お待たせ致しましたー
まさか……そこまで威力が出るだなんて思わなかった!?
「ルゥさん、大丈夫ですか!?」
当たってはいないけど、ぽっかーんとしていたルゥさんのところに僕は駆け寄った。
僕が行ってもルゥさんのぽっかーんは治らなかったけど、ちょいちょいと腕を触れば……我に返ってくれた。親しい人だからって、美女の水着アーマーに気安く触るなんて出来ないからね?
「……ケントちゃん、今の何ぃ?」
後ろの方でエディもぽっかーんとしたままだったけど、ルゥさんがこっそり僕にサーブのことを聞いてきた。
「……さっき説明したように、サーブって言うのですけど?」
「けど〜、君戦闘経験とかないんでしょん? あれ受けたら、魔物の頭蓋骨くらい簡単に割れそうよん?」
「……そこまで?」
「ちゃーんと、自分のやったこと見なさい?」
言われた通り、壁にめり込んでしまった布ボールを見たけど……たしかに、漫画表現であるようなくらい大袈裟に埋まってしまっていた!?
「……えぇえ?」
前世での部活とかでは……サーブの威力が強過ぎて、軽く相手を弾き飛ばしたことはあるけど!?
まさか!!
ここまで凄いことになるとは思わないもん!!?
「……これも、神からのご加護じゃなぁい?」
エディに聞こえないように、こそっとルゥさんは言ってくれたけど……この結果を見るとそうとしか思えないや。
「……げぇ……すげぇじゃねぇか!? ケント!!」
エディも落ち着いたのか、駆け足でこっちに来て僕の手を掴んでぶんぶんと上下に振った。
「そ、そう?」
「おう! ランクの低い魔物の頭蓋骨に当たれば……簡単に砕ける威力だ!!」
エディにまで、ルゥさんと同じこと言われた!?
それだけ……狙えば、このサーブって十分な攻撃力になるのか……そうかぁ。
「うふふ。けーどぉ、ケントちゃんの本職は、ポーションパンの製造よん? エディちゃぁん? ケントちゃんに冒険者登録させようとしないでねん?」
「えー? ケントと討伐とかしたかったのにー」
「だ・め」
「ちぇ」
僕も、そこはご遠慮願いたい。
だって、冒険者になると言うことは……相手がモンスターであれ、『生き物を殺す』ことを生業にしているのも同じ。
エリーちゃんとかに聞いたりはしたけど……人間相手とかはまだないが、モンスターはもう慣れたって言ってた時の顔が……どことなく、寂しげに見えた。
僕だって、お肉や魚の食材は扱うけど……それは、『処理』した状態だからだ。
間違えても、無闇に殺生した上での調理ではない。
「……僕は今のままで充分だよ」
冒険者じゃないけど、冒険者さんの役に立つことは……ポーションパンの方で頑張っているつもりだから!!
「……そっか」
僕の短い言葉で納得してくれたのか、エディも苦笑いで終わらせてくれた。
代わりに、バレーボールの基礎みたいなことと……何故かルゥさんも混じって、アンダートスでのパスのやり取りで遊ぶことになっちゃったが。
次回はまた明日〜




