第130話 人生初のお酒
お待たせ致しましたー
中は、『THE☆酒場』って感じだ。
いかついお兄さんとかが、真っ昼間からお酒を飲んでいるから……アルコールの臭いがきつい。匂いだけで、ちょっと酔っちゃいそうだ。
「ケント、あっち行こうぜ」
エディは平気なのか、相変わらず上機嫌なままだ。
あちこちにあるテーブルじゃなくて、個室みたいなとこに行くみたい。来い来いと手招きされたので、鼻をつまみながらついて行くと……他とは違い、落ち着いた雰囲気の個室に到着。
ちょっとした開き戸をあければ、中は四人くらいは座れるテーブルと腰掛けがあったよ。
僕らが向かい合わせに座ると、すぐに店員らしいお兄さんが注文を取りにやって来た。
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
「俺はエールで。そっちは……りんごエール。あとつまみの盛り合わせを適当に」
「かしこまりました。お待ちください」
と言って、ささっと行っちゃう感じ……接客のプロだなあと思った。僕は経験少ないけど……前世のバイトでレストランにいたからね? 調理補助以外にも、少しだけ料理提供したことはあるから。
「あ〜……ここに来んのも随分久しぶりだ」
ちょっと疲れていたのか、エディは肩をポキポキと鳴らしていた。
「仕事が忙しいの?」
「色々な? ま、大半は終わらせたからこっち来れたが」
「お疲れ様。今日はいいの? 本当に奢ってもらっちゃって」
「いいって。ケントと飲みに来たかったのはほんとだ」
などと雑談していたら、すぐに店員さんが戻って来て……まずはお酒から。
エディには見た目、ビールが入ってそうな小さな樽の形をしたジョッキ。僕は、りんご味の炭酸ぽい感じのお酒だった。
ちょっと匂いを嗅いだけど、匂いは普通のりんごジュースみたい。
「……お酒だよね?」
「軽めだから、あんま匂いしねぇしな? ほら、飲もうぜ!」
「うん!!」
「「乾杯!!」」
「おつまみもお持ちしましたー」
ジョッキを合わせた後に、また店員さんがおつまみを持って来てくれた。大皿には、ボイルソーセージとサラミにチーズのブロック。
フライドポテトは無い感じだ。
たしか、素揚げしたじゃがいもはあったようななかったような?
ポテチはエリーちゃんは知らなかったし、多分ないかもね?
エディはソーセージを手で掴むと豪快にかぶりつき、勢いよくエールで流し込んでいった。
「かぁー! この組み合わせが最高なんだよな!!」
エディがするよ、なんでも美味しそうに見えちゃう。
僕も! とまずはソーセージを食べてみる。パリッと皮の食感が楽しくて、これには! とお酒を……前世も含めて人生で初のものを飲んでみると……炭酸が強いが、ちゃんとアルコールを感じた。
強くはないけど、一気飲みすると油断出来ない度数。
ワインよりは断然低くても……これを高校生くらいの年代から飲んで良いんだ?
異世界というか、習慣の違いってすごい。
「……美味しい!」
けど、味は間違いなく美味しい!!
お酒だけど、りんごのスカッシュ飲んでいる感じだからごくごく飲めちゃう!! 酔いが怖いから一気飲みしないけど!
「良かった。気に入ったか?」
「うん! お酒って美味しいんだね?」
「だろ? てか、ヴィンクスと師弟関係だったのは驚きだぜ」
「あはは……隠してたわけじゃないけど」
色々辻褄合わせとかがあるからね、お師匠さんとの関係って。
次回はまた明日〜




