第123話 スタンプカード
お待たせ致しましたー
つい先日から、始めたことがひとつ。
「じゃじゃーん!!」
ある日の午後からの仕込み。
その最中に、僕はラティストとカウルにあるものを見せたんだ!
「……紙?」
「枠が書いてあるでやんすね?」
異世界知識をほとんど知らない二人が、僕が見せたものを見てもピンと来ないのは仕方がない。
「これは、スタンプカードって言うものなんだよ!」
「「……スタンプカード??」」
「んーと。僕やお師匠さんがいた世界……特に日本だと馴染みの深い慣習かな?」
枠は二段の合計十マス。
一番上には、黒い刻印がかっこいいスタンプ。
ロイズさんに頼んで、判子みたいなの作ってもらったんだよね?
「どのような慣習なんだ?」
「一定の金額で購入してくださったら、ひとつとか二つ判子を押す。で、全部貯まったら……特典と引き換えできるわけ」
「「特典??」」
「たとえば……銅貨数枚の割引券とかにしたり?」
「……なるほど」
「人間はそう言うのを喜ぶでやんすか?」
「そうだねぇ」
高価なものを少しでも安く買えるのは……人間としての観点だと嬉しいものだ。
まあ、僕は割引きはしないけどね!
「……その顔だと、金額が特典ではないようだな?」
「あ、わかる?」
さすがは、大精霊さんだからかな?
「ケン兄さん、なにをするでやんすか?」
「んーと。あまりがちは解決したし……けど、せっかくの特典だから。銀貨一枚の値段のパン一個を好きな種類で選ぶ……どう?」
十個のマスならそれくらいが妥当かな? と思っていると……ラティストは少し考えていて、カウルは体をプルプル震わせた。
「いいと思うでやんす!」
「……あえて、高い値段のパンをか。マスひとつに対しての値段は?」
「銅貨二十枚くらいかな?」
「……であれば、妥当か」
と言うことで……決まったんだけど。
「ケントちゃぁ〜ん!! スタンプちょうだぁい!!」
他の知り合いにも知らせたけど……。
一番張り切ってくれたのが、ルゥさんで……あっという間に、カード一枚分を購入してくださり……新商品の海老カツサンドをるんるんスキップで持ち帰ったのだ。
(……この勢いだと、他のお客さん達の闘争心焚き付けそう!!)
実際、常連客さん達の心に火をつけてしまい……いつもの仕込みが少し増えたのでした。
ちょっと、カードは検討し直さなくちゃいけないかも!?
お師匠さんとかに伝えると……少し様子見してから、金額は変更した方がいいのと。
「設定金額が安過ぎだ」
とお叱りをいただいてしまいましたとさ。
次回はまた明日〜




