第108話 余りがちなパン
お待たせ致しましたー
騒動(?)は無事に一件落着……して。
僕の方は、またポーションパン屋を経営していく日常に戻っていく。
新作の試作は……ちょっとだけお休みして、日々の売り上げや売れ筋を見ていくのも重要視していった。
ロイズさんからもだけど、お師匠さんからもきちんと管理するように言われていたので……お店を経営するには、そこはしっかりしなくちゃと思い直し。
ラティストと接客を頑張り、やって来るお客さん達の様子を少し観察して行ったんだけど。
「う〜ん」
毎回毎回じゃないけど……余るパンが少し見えてきた。
目的は、あくまで『ポーション』として購入するお客さん。
単純に美味しいから『パン』を購入していくお客さん。
後者は、住居区から来る主婦さんとかだ。たまに親子連れでも来るから、ちっちゃい子が駄々をこねて買う場合もある。
けど、この世界にはないパンばかりなので……ほとんどは売れていくけど。
それでも、余っちゃうパンは出てしまうのだ。
「……これかあ」
そのひとつである……細長くて固い、『フランスパン』。
決して、トラディスさんの魔剣『フランツ』さんと同じパンじゃない。あの剣がいきなりパンに見えたのは……僕だけのようだが。
さておき、甘い、塩っぱい、辛い、のパン達は売れれても……主食にしても良いパン、つまり加工する前のポーションパンはあまりがちになってきた。
同じ理由で食パンの方も少し。
「……それらはあまるのか」
午後の仕込み前に、お店を一旦クローズした後……ラティストと並んで、売れ残ったパンを見ていたのです。
「最初は物珍しさで買ってくれたのもあるけど……だんだん慣れてきたら、見向きもしなくなるんだろうね?」
「……美味いのだが」
「けど。フランスパンは基本的に固いから」
がっきんとは言わないくらいに……すこーし日本人向けのように柔らかくしてはあるんだけど。それでも、この世界の人達には馴染めないかもしれない。
これは……もしや改良の余地有りかも。
「……俺達で食べるのか?」
「うーん。毎回毎回は……僕らじゃ消費し切れないし」
「加工か?」
「その方がいいよねぇ?」
とりあえずは、まだ日持ちするパンなので……この時はそのままにしておくことにしました。
けど、僕はそれからも気になって気になって……仕事にちょこっと影響するくらい、考え過ぎて寝不足になってしまったのだ。
それに比例するくらい……やっぱり、フランスパンもだけど普通の食パン。さらにテーブルロールの丸い白パンも余りがちになってきたんだ!?
次回はまた明日〜




