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28,ドリルドライバーを人体に使った場合、

 

 ここ最近は、魔石を安定確保して、安定的に稼いでいる日々。


 処女膜の恨みでダンジョン滅ぼすテンションも、あれね、翌朝には醒めていたし。


 この千佳ちゃんを助手として、こうして〈むつダンジョン〉のような、のんびりしたところでコツコツ稼いでるわけだよ。


 で、帰りの途中、べつの冒険者たちと遭遇した。

 ダンジョンの地上入口付近で。


 五人の斧や剣で武装した男たちで、なんだか柄の悪い連中だね。

 年齢は、大学生くらいかな。


 その中でも、ひときわ頭の悪そうな男が前に出てきて、


「あー、まてまて。ここに貴様らはなんのようだ?」


「なんの用って、魔石を稼ぎに」


 と、わたしが答えると、その男たちがニヤニヤしながら言うわけだ。


「よーし。なら、その魔石をぜんぶおいていけ」


「えー、なんで?」


 千佳ちゃんが、なぜかワクワクした様子で言う。もうワクワクが止まらない様子で。


「お姉さま、お姉さま。彼らは、ダンジョンの武装強盗ですよ。わたしたちのような、せこせこ働く者たちから、貴重な採取品などを奪うのが目的なのです」


「せこせこじゃなくて、そこは真面目に働くだよね。真面目にー、働くー、乙女ー♪」


「そんなダンジョンSONGがあるのですね、お姉さま」


「ないよー、いまテキトーに歌っているだけー♪ ゆえに作詞作曲、わたしー♪」


 頭の悪そうな男の一人が、大剣を偉そうに振り回しながら近づいてきた。ただそれを行使しようというのではなく、脅かしに使いたいらしい。


「おい、クソ女ども! 舐めた真似してんじゃねぇぞ!」


 すると別の頭の悪そうな男が、ニヤニヤ笑いで続けてきた。


「そう、そう。ケイちゃんがブチ切れちまうぜー。ケイちゃんはなぁ、この大剣使いとして、ゴブリンどもを何十体も屠ってきたんだぜ」


 つまり、この大剣をもった頭の悪そうな男がケイちゃんというわけか。

 そのケイちゃんが何かに気付いた様子で、千佳ちゃんにぐっと近づき、あからさまに豊かな胸を見る。舐めるように。


「ほう。よくよく見たら、こっちのガキは、楽しめそうな身体じゃねぇか」


 ここは千佳ちゃんと同じ女子として、主張せねばなるまいよ。

 というわけで、ぴょんぴょん跳ねながら挙手した。


「わたしは? はい、わたしは? わたしは、どうですか?」


 ケイちゃんはちらっとこっちを見てから、


「てめぇ? 男みたいな平坦な身体して、なにほざいてやがる」


「天罰ー」


 ケイちゃんに〈皆殺しのドリルドライバー〉を押し付け、トリガーを引く。

 とたん、思いがけないことがおきた。


 ケイちゃんの胴体の半分ほどが吹き飛び、肉片と血がまき散らされたのだ。しかし原型は留めている!


 ケイちゃんが「ぎゃぁぁあああぁぁぁあオレの身体があぁぁああああ何しやがんだあぁぁぁ!!」

 と、なんか叫んでいるけども。


「まった。人体に使うと、モンスターのように跡形もなくなることはないんだね。すなわち、人体爆裂とまではいかないんだね」


 そのとき、わたしは気づいたのだ。


 この〈皆殺しドリル・ドライバー〉ってさ。


 人間に使うのが正解なんじゃない???


「ダンジョンで、人を殺してもー、バレなきゃ大丈夫ー♪」


 千佳ちゃん、号泣。


「お姉さまの音痴なのが、一周して素敵すぎます!」

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