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ショートショート10月~2回目

結婚式

作者: たかさば
掲載日:2021/10/27

 愛するミユキと俺の門出を祝うのは…数えきれないほどの、友人、知人、著名人。


 皆、口々に、俺たちの結婚を祝福している。


「おめでとう!幸せになれよ!」


「お似合いのご夫婦ね!」


「末永くお幸せに!」


 だが、その中に、俺の血縁者は、いない。


 …俺の両親は、俺とミユキの結婚を、認めてはくれないのだ。


「では、誓いの口づけを。」


 神父の言葉を確認し、俺はミユキの唇を、奪った。


 にっこり微笑む、ミユキの唇に、俺の唇を、重ねる。


 何度も、何度も、唇を、堪能する。


 にっこり微笑む、ミユキの唇が、にじんでいる。


 何度も、何度も、唇を、堪能する。


 にっこり微笑む、ミユキの顔が、ゆがみ始める。


 何度も、何度も、唇を、堪能する。


 ……ああ、ミユキ、俺の、ミユキ。


「ちょっと!!!なにやってんの?!」


 ……この、声は。


「いいかげんにしなさい!!!」


 ビッ!!ビリビリぃイイい!!


 ミユキが、ビリビリと引き裂かれてゆく。


 細かく引き裂かれた、愛する妻が、俺の足元に散らばってゆく。


「いいかげんに現実逃避はやめなさいよ!!」


 唾液でふやけて、所々にじんだミユキが、バラバラになって、俺の足もとに散らばっている。


 机の上の結婚式会場では、相変わらずにぎやかに、俺とミユキを祝福している。


 …数えきれないほどの、友人、知人、著名人。


 皆、口々に、俺たちの結婚を祝福している。


「おめでとう!幸せになれよ!」


「お似合いのご夫婦ね!」


「末永くお幸せに!」


 B4の紙を埋め尽くす、俺とミユキの結婚を祝う来賓。


 花嫁惨殺という恐ろしい事件を前にして、一ミリも表情を変えることなく、俺とミユキの結婚を祝い続ける、来賓。


 花嫁だけが、引き裂かれて、姿を消した。


 呆然とする俺と、半狂乱の母親。


 俺の、ミユキ。


 俺を愛してくれる、唯一。


 俺が愛している、唯一。


 俺の、ミユキ。


 二次元にとらわれている、かわいそうなミユキ。


「バカなことやってないで、早く仕事に行きなさい!」


 ……もう、そんな時間か。


 俺は、バラバラになったミユキを拾い集め、ごみ箱に、捨てた。


 ……仕事に行かなければ、ミユキを描くこともできなくなってしまうからな。


 肌色のマーカーペンのインクが切れていたんだよ。


 これがなくては、ミユキの血色のいい素肌は……描けないからな。


 ……俺は、愛する妻のため。


 職場に、向かった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 唾液でふやけたミユキ……(笑。 ちゃんと仕事してるから、いいんですよね。たまには現実逃避をしても、はい。
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