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098.エピソード・ゼロ

 おぎゃーおぎゃーおぎゃー


「ん? こんなところに赤ん坊?」


「よしよし、もう大丈夫だよ」


「ん? この布地、高級品だね。どこかのお偉い様の赤ん坊かね。訳アリ……か」


「お、ヴォルテスクって言うのか。これからよろしくね。ヴォルテスク」









「ちょっとお母さん! また迷宮大森林に行ってたんでしょ!」


「あそこは時間の流れが違うからずっと居たらあっという間にお婆ちゃんになっちゃうよ!」


「あれ? それ何?」


「森で拾ったんだ。ベル、今日からこの子はお前さんの弟だよ」


「うわぁー、可愛い! 私、今日からお姉ちゃん?」


「そうだよ。お姉ちゃんだよ」


「そっか! 名前はなんて言うの?」


「ヴォルテスクだよ」


「ヴォルテスク……、よろしくね、ヴォル!」









「ベル、愛している。結婚しよう」


「は? え? ちょ、ちょっと待って。私たち姉弟だよ!?」


「姉弟と言っても、義理の姉と弟だろ」


「そう、だけど……」


「俺は、ベルを1人の女性として愛している。ずっと前から」


「ベルは俺の事、嫌いなのか?」


「そ、そんな聞き方、ズルいよ……」


「私はずっとヴォルを義弟だって言い聞かせてたのに」


「結婚、してくれる?」


「……はい」









「ヴィス、お父さんだよ。お、笑った! 俺を見て笑ったぞ」


「まだ生まれたばかりよ。せっかちなお父さんですねー、ヴィス」


「いいや、この子はちゃんと俺たちを認識している。うん、この子は立派な子に育つぞ!」


「もう、親バカなんだから。でも……この子が大人になるころは世の中が平和になっているいいわね」


「……ああ、魔王軍の侵略も激しさを増してきているからな。噂じゃドワーフの国が滅ぼされたらしい」


「魔王を倒せるのは勇者のみ。ねぇ……、まさかこの子が勇者って事は無いよ、ね?」


「ははは、まさか」


「「…………」」









「お父さん! お母さん! 新大陸に行くわよ!」


「いきなり何を言い出すんだ、ヴィス」


「各国が出資して新大陸を開拓する話は知っているよね?」


「ああ、そんな話もあったな」


「魔王軍と戦争中に、そんなことをしている暇があるのかって揉めているらしいけどね」


「何をそんなちっぽけな事をいっているの! 未知なる世界の探索! これこそ冒険の醍醐味! ロマンじゃないの!」


「まぁ、他の人たちの言い分も分かるわよ? でもね、いざという時の退避場所や、新たな資源の発掘は魔王軍との戦争にも役に立つと思うのよ」


「と言う訳で、新大陸に行くわよ!」









「お嬢さんを下さい!」


「却下だ」


「なんでよ。ちゃんとお父さんの言う通りに強い人を連れて来たわよ」


「俺よりも強い人を、だ。この若造は俺よりも強いと?」


「A級最上位のお父さんに勝てる人なんて居ないわよ。これでもこの人かなり強いのよ」


「は、はい! 船乗りですので腕っぷしには自信があります!」


「船乗りの中では、ではないのか? 第一名前が気に入らん。なんだバハムトって。たいそうな名前をしやがって」


「それって言いがかりじゃない! 名前は親からもらったんだから、この人とは何の関係もないじゃない!」


「気に入らんから気に入らんと言っているんだ!」









「ヴェール~、お爺ちゃんですよ~」


「ヴェール~、パパだよ~」


「なんじゃ、気色悪い声を出しおってからに」


「お義父さんこそいつもの威厳はどうしたんですか?」


「ああ! ちょっと、2人ともヴェールに構い過ぎよ。おーよちよち、怖かったでちゅねー」


「い、いや。孫が可愛すぎて、つい、な」


「う、うん。僕の娘は世界一可愛いから、つい、ね」


「お父さんとあなたはは本当に仲がいいわね」


「「良くない!!」」









「ヴェール、本当に行くのか?」


「うん、もう決めたの。新たな開拓村へ志願するって」


「そう言うところは母親そっくりに育ったな」


「ヴォルテクスさんも来ませんか? その……ベテランの冒険者が居ると心強いですし……」


「ビート君、儂はもう引退した身じゃよ。儂よりも凄い冒険者は山ほど居る」


「またまたぁ。お爺ちゃんが凄くなければ誰が凄いのよ。S級冒険者で『氷帝』の二つ名持ちじゃない」


「……リヴァイアサンの事件を覚えているかい?」


「ええ、そりゃあもう」


「儂はあの時期、港町フォルスを離れて周辺で活動をして居った」


「S級モンスターのリヴァイアサンが出たと聞いて慌てて戻ったが、すでに討伐された後じゃった」


「しかもリヴァイアサンを討伐したのは年端も行かぬ少女と言うではないか」


「うん、あれにはびっくりしたわよねー」


「その時に気が付いたのじゃ。新たな時代が訪れたと」


「それが引退の理由? なんかお爺ちゃんらしいわよね」


「ほっほっほっ、いつまでも年寄りがのさばって若者の成長の妨げになってはいかんからのぅ」


「ま、確かにお爺ちゃんにいつまでもおんぶ抱っこじゃいられないからね」


「ほら、おいで。ひい爺ちゃんにお別れよ」


「ひーじぃ」


「おぉ、元気でな。ひーじぃは会えなくなって寂しくなるぞ」


「んー、ばいばい?」




「……行ってしもうたか」


「ヴォルテクスの名を分け与えし我がひ孫よ。何やら予感がする。お主は世界を救う大物になるとな。儂はここでお主の活躍を期待しておるぞ、ヴォルよ」








ヴァリアブルとヴォルがそっくりな理由を活動報告のあとがき代わりに書くつもりだったのを忘れていたので、折角なのでもう1話追加として載せる事にしました。


完結してから直ぐの追加で、完結詐欺みたくなって申し訳ありませんが、これで本当に完結となります。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうりてそっくりなわけですね。
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